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「場面緘黙」の子が過ごしやすいクラスを①

さっきまで保護者と話しながら登園してきたのに、園に入った途端に口を閉ざす……その子はもしかすると「場面緘黙」かもしれません。場面緘黙への理解を深め、園で「話せない」子どもとの関わり方や、クラスづくりのヒントをご紹介します。

特定の場面になると、話せなくなる子がいる

「場面緘黙」とは、家庭で家族となら普通に会話ができるのに、園や学校など特定の状況で声が出ず話せない、という症状です。入園などで新しい環境になり、慣れるまで口数が少ないのはよくあることですが、場面緘黙は時間が経てば話せるようになる、というものではありません。原因は解明されておらず、小児の不安症群のひとつで、場面によって不安や緊張が高まることが要因として考えられています。また、新しい場所に来ると黙って周囲を観察しているような、慎重な気質の子に多いともされています。
場面緘黙の症状は園や学校で表れるケースがほとんどで、子どもが長い時間過ごす園だからこそ症状に気がつくことも多いでしょう。場面緘黙の子は園でたくさんの「困った」場面を経験しており、なんらかの配慮や支援を必要としています。場面緘黙への理解を深め、園でできる支援を知りましょう。
「話さない」のではなく「話せない」ことを理解する
場面緘黙は、自分の意思で「話さない」のではなく「声が出なくて話せない」という表現が正しいようです。まずは場面緘黙の基本的な症状を知り、理解を深めましょう。

子どもによって、話せない場面や度合いはそれぞれ

場面緘黙の子が話せなくなるのは、入園や転居など環境の変化や心的負担がきっかけになる場合もありますが、日常のちょっとしたことで症状が出始める子も少なくありません。場面緘黙の基本的な症状は下記の通りで、なかでも話せない場面や度合いには個人差があります。園の玄関まで来ると話せなくなる子もいれば、保育者とは小声で話せるけれど、クラスの子とは全く話せない子もいます。また発話がないだけでなく、体が動かなくなる、感情表現が乏しくなるなどのケースもあります。
教えてくれた人/
KBS発達教育支援 研究所代表 園山繁樹
イラスト/かわいひろみ
取材・文/小栗亜希子
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年2・3月号

PriPriパレット 2025年2・3月号

51,52,54ページに掲載

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