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支援のアイデア

保育環境を考える「構造化」とは

子どもの言動は、環境から得た情報が起点となって表れます。
「伝わるだろう」「できるはず」と子どもの発達を高く見積もることなく、成長途中である子どもの脳で考えてわかりやすいかどうか。
情報の取り入れ方に着目した「構造化」の支援技法で、環境を見直してみましょう。
「構造化」を用いるとわかりやすい保育環境に
認知の状態に応じて環境を整えるときに知っておきたい、TEACCHプログラムの「構造化」という支援技法があります。TEACCHプログラムとは、自閉スペクトラム症やコミュニケーション障害の子どもたちの自立を目的とした生涯支援プログラム。アメリカのノースカロライナ州立大学での取り組みを基盤とし、家族、支援をする学校関係者なども対象にした包括的な取り組みが特長です。 中でも、混乱しないように環境を整える「構造化」の支援技法は、日本でもさまざまな現場で取り入れられ、有効性が理解されています。基本の4つの要素をおさえておけば、使うツールなどは子どもに合わせてアレンジ可能。
その4つの要素についてご紹介します。
[ 要素① 場 所 ]
余分な刺激をなくし、「その場所で何を行うのか」「何を置くのか」を明確に示す。持ち物やおもちゃを片付ける場所、待つ位置や居場所などが、ひと目でわかるようにすることが大切。
● 余計なものはカーテンなどで隠す
● 自分が座る場所、ものの収納場所を明確に
[ 要素② 時 間 ]
何をどの順序で行うかを時間軸で示し、見通しを持たせる。子どもの理解レベルによって、実物、写真、絵、文字を使い分けてスケジュールを掲示し、子どもがそれを見て次々と活動に移れるようにする。
● 1 日の活動予定を絵と文字で表示
● 成長によっては、週・月単位で長期の見通しを表示
[ 要素③ 活 動 ]
工程や手順をわかりやすくする。「まずどんな動きをし、次に何をするのか。いつ終わるのか」がわかるように掲示。どの子が見ても理解できるように、文字だけでなく絵や写真なども取り入れる。
● 朝や帰りの支度を写真で示した手順表
● 手洗いの仕方を絵と文字で掲示
[ 要素④ 視覚的手がかり ]
絵や写真、実物などの視覚情報で行動や指示を伝える。聞くよりも見て理解するほうが得意な子が多いのも、発達障害の特徴。思い出して行動できるような掲示や、自分の意思を発信できる絵カードなども有効。
● 行動を示す絵カード
● ルールを絵や図で表示
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撮影/五十嵐 公
撮影協力/太陽の子保育園・あおぞら保育園(東京都羽村市)
監修/チャイルイドフッド・ラボ代表理事 藤原里美
取材・文/根岸伸江

この記事が詳しく掲載されているのは
PriPriパレット 春号
13ページに掲載
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