身辺自立が進みにくい子への対応①
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| 食事や排泄、身支度に時間がかかるなど、身辺自立が進みにくい子がいます。少しずつ自立へと向かってほしいけれど、どう対応すべきか迷うケースもあるでしょう。子どもが自分でやろうとする力を育む対応を考えます。 | |
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子どもが挑戦するためのちょうどよい支援を 幼児期における身辺自立とは、「すべてをひとりでできるようになること」ではなく、必要な支援を受けながら、自分でやろうとする力を育んでいく過程です。身辺自立には年齢による発達の段階の目安があります。しかし、発達に凸凹があると、できる部分と難しい部分が混在しやすく、場面によって自立の進み方に差が出ることがあります。 ロシアの心理学者ヴィゴツキーが提唱した「発達の最近接領域」によると、「ひとりでできること」と「まだできないこと」の間に「少しの支援があればできる領域」が存在し、この領域での関わりが、子どもの発達を一歩先へ導くとされています。 丁寧なサポートとは、子どもができている部分に注目して、次の一歩に必要な支援を行うこと。スモールステップで、子どもが「できた!」を積み重ねられる支援を行うことです。次のステップへの挑戦のベースとして、保育者は、子どもに理解しやすく安心して取り組める環境を設定する必要があります。 |
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「身辺自立が進みにくい子」の背景 ●発達がゆっくりで、何をしたらよいかわからない ●こだわりが強く、不安を感じやすい ●不器用で、すぐに諦めてしまう ●落ち着きがなく、飽きっぽい |
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ぼんやりして、登園後の 身支度が進まないAさん 発達が全体的にゆっくりで、ことばがまだ少ない3歳のAさん。登園後の身支度で何をしてよいかわからず、保育室の入り口で座り込んでいることがあります。 |
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ワンステップで身支度が終わる環境設定を 発達がゆっくりなAさんは、身支度で、何を・どうするかが十分に理解できていない可能性があります。ことばの発達が十分でないこともあり、要求など意思を伝える手段が少なく、わからないことを伝える力も不十分なため、ぼんやりとたたずんでいるのでしょう。 こういった子どもは、保育者のことばだけでなく、視覚的なツールを使って見通しがもてるような環境設定が必要です。また、一か所ですべての支度ができるように設定するなど、集中して取り組める環境を用意しましょう。 |
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園での支援実例
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場所と活動をワンセットに 登園後の支度で、食具や水筒を入れるかご、連絡帳を出す場所を1か所にして、その場で全て完結できるようにしました。ほかのことに気を取られることもなくなり、集中して取り組めるように。ひとつずつ確認して出していくスモールステップで、保育者と一緒に行いました。 |
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めくり式の手順書で確認 活動の手順は一対一対応でシンプルに見られる伝え方が、Aさんにはわかりやすいようです。そこで、手順をめくり式にまとめ、ひとつできたらカードをめくって「終わり」までを視覚化。最後は保育者とハイタッチして、「できた!」の達成感を得られるようにしました。 |
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![]() 着替えの順番がわからず、 パニックになるBさん 4歳のBさんは、着替えの順番にこだわり、思っていることと少しでも違うと、かんしゃくを起こしたりパニックになったりします。普段から大人への確認が多く、スムーズに着替えることができません。 |
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安心できる服と安心して着替えられる環境を用意 こだわりが強い子どもの場合、洋服の素材が不快だったり、少しでもうまくいかなかったりすると、着替えを嫌がることがあります。洋服の締めつけ感、タグなどの刺激を不快に感じる場合も。本人が安心できるものを優先し、タグをあらかじめ切ってもらう、本人が好きな素材の服を用意してもらうなど、保護者にも協力を依頼し、協同で自立を進めていきましょう。 着替えのスペースを静かな場所に設定するなど、その子のペースで安心して着替えられるようにすることも大切です。 |
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園での支援実例
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着替えの順番を本人と決める 安心できる環境で着替えられるように、本人のこだわりを無理に変えず、着替えの順番や、いすを使う・使わないを本人と決めるようにしました。手順をイラストや写真で示したところ、確認しながら着替えています。 |
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教えてくれた人/ 公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美 イラスト/ナカムラチヒロ 取材・文/こんぺいとぷらねっと |

