意欲が芽生える
ことばかけを①
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新しい生活に子どもたちがやる気いっぱいの春。その意欲を大切にしたくても、まだ関係性を築けていないなかでのコミュニケーションに悩むことも。 子どもたちの意欲を育むコミュニケーションとは?「ことばかけ」から考えます。 |
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ことばかけで子どもの行動が変わる 入園や進級により慣れない環境で過ごす子どもたちは、やる気十分な反面、緊張や不安もいっぱいです。そんな状況から、なかには不適切な行動が見られることも。そんなとき、保育者がどのような「ことばかけ」をするかで、子どもの行動は変わっていきます。 特に発達に特性のある子どもは、行動の背景に様々な理由を抱えています。それらを読み取り、そのうえで子どもに伝わりやすく、園生活や活動への意欲を育む「ことばかけ」をすることが大切です。 |
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行動の理由を知ってことばかけを まだ子どもとの関係性が築けていないなかで、不適切な行動が見られた場合、どんな声かけをしたらよいか。行動の背景を知るために、ABA※を活用してみましょう。行動だけでなく「その前の状況は?」「そのときの環境は?」と行動が起こる条件を分析し、環境や働きかけを変えていきます。 例えば、同じ〝物を投げる〟という行動は、「A=行動の前の状況」「B=行動」「C=行動の結果」を見ることで行動に隠された理由が浮かび上がるのです。行動の理由は主に ❶回避・逃避(自分にとって好きでないこと、いやなことを避けたい) ❷注目欲求(他者に注目してもらいたい。かまってもらいたい) ❸物・活動の要求(何かを手に入れたい。やりたい) ❹自己刺激(その行動自体の感覚が好き。行動そのものが楽しい) の4つあります。理由がわかると、Aの段階にアプローチできる「ことばかけ」のヒントが見つかるでしょう。すると、子どもの行動やその結果も変化します。 |
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※ABAとは? Applied Behavior Analysisの略で、日本語では応用行動分析学。行動の分析から導きだされた対応法で、社会性の向上や行動の改善につなげる方法として、療育現場などでも取り入れられている。 |
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教えてくれた人/鳥取大学大学院 医学系研究科教授 井上雅彦 イラスト/熊本奈津子 取材・文/江頭恵子 |