My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

「切り替えられない子」への対応②

園で見られる「気持ちが切り替えられない」子どもの姿。背景や特性に応じて現れる姿は異なり、必要な支援も異なります。この連載では、園での事例を取り上げ、支援のあり方を学びます。
CASE 1


片づけのとき、あそびを終われず、走り回るAさん

自閉スペクトラム症(ASD)の傾向が強く出ている4歳のAさん。記憶力がよく、日常生活の動作はだいたいできますが、「片づけするよ」のことばかけだけでは終われず、走り回ったり次々とおもちゃを出したりします。


切り替えの手順をシンプルに

あそびを終わらせられない子どもに、「あとであそべるよ」と伝えて気持ちの切り替えを促すことがあります。しかし、抽象的なことばが理解できない子どもには、「あとで」など、いつを指すかが具体的でないことばは伝わりません。
そのような場合は、「〇〇をしたら△△」といったルーティンとして覚えられるよう、やるべきことをシンプルにします。同じ手順でくり返すなかで、生活のルーティンとして定着を促しましょう。
ASDの子は視覚優位な傾向にあるので、指示を出すときは、絵カードなどの活用もおすすめです。
園での支援実例

1ステップで片づけられるフィニッシュボックス
「片づける」ことが理解できないまま、友だちの動きにつられて走り回っていたAさん。そこでAさん専用のおもちゃ箱を用意して、片づけの時間になったら、使ったおもちゃを入れることにしました。加配の保育者と毎回一緒に行い、「片づけ=おもちゃを箱に入れる」という動きをくり返すことで、徐々に身につきました。
CASE 2


外あそびから戻れず、立ちつくすBさん

クラスの友だちが片づけたり、手を洗ったりしているなかで、固まって立ちつくしてしまう2歳のBさん。あそびが終わる状況がわからないようで「何をする時間かな?」と伝えても動けませんでした。


「おしまい」の流れをパターン化

保育者は、毎日のことだから「言えばわかる」と思いがちですが、実は周囲の友だちの様子を真似しているだけ、という場合も。そのような子には、「おしまい」のことばや動きを、しっかり伝えましょう。
「おしまい」ということばに不安を感じる子の場合は、「楽しかったね」など、別のことばで終わりを伝えても。
おしまいの流れやパターンをつくり、経験を積み重ねていけるとよいでしょう。
園での支援実例

おしまいの合図はいつも同じ「10カウント」
Bさんは「外あそびを終わりにする=部屋に入る」という生活の流れを理解できていませんでした。「今は何をする時間だっけ?」ということばかけも、Bさんにはわかりにくかったようです。そこで、「10数えたらおしまいだよ」と伝え、いつも同じパターンであそびを終えるようにしました。
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
お知らせカテゴリー

この記事が詳しく
掲載されているのは

PriPriパレット 2024年8・9月号

PriPriパレット 2024年8・9月号

34,36,37ページに掲載

詳細はこちら

関連キーワード