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ことばの育ちが遅い子の食事①

ことばの発達に課題のある子は、偏食や丸のみなど食事に関する困りごとも抱えることがあります。関連はあるのでしょうか。言語聴覚士がお答えします。

ことばの育ちと密接に関わる食事中の姿

乳幼児期は、体全体を使う粗大運動を土台に、握る・つまむなどの微細運動、また口腔機能が育っていきます。食事は、噛む・飲む動きに加え、座る・立つなどの粗大運動、握る・つまむなどの微細運動の総合的な動きで成り立っています。また、一見関連がなさそうに思える「ことば」と「食事」は、どちらも口を使い、運動機能の発達が土台となる点で、実は密接に関わっています。実際、ことばの育ちに課題がある子どもを見ると、食事中にも気になる姿が見られるケースが多く、その代表が、「偏食」と「丸のみ」でしょう。
「偏食」とは食べられるものに極端な偏りがあることです。発達の特性による感覚過敏やこだわりの強さなどが影響します。また、十分に咀嚼せずに飲み込んでしまう「丸のみ」は、口腔機能の未発達も一因です。
今回は、食事で気になるこの2つの姿について解説します。

食事は口腔機能の育ちや発達の特性と関連する


健康への影響を考慮し、丁寧な対応を

偏食とひとことでいっても、感覚過敏の特性により、揚げ物の衣を痛いと感じたり、柔らかいものが不快だったりなどの食材そのものへの苦手さだけでなく、スプーンの冷たい感触が苦手など、食具が関係する場合もあります。白いものしか食べられない、見た目が同じ包装でないと食べられないなど、こだわりの強さが影響するケースも。一方で、丸のみは、口腔機能の発達の遅れが要因になる場合も。前歯を使って食材を噛みちぎることができないと、ひとくちの量が多くなりがちなので、咀嚼せずに丸のみをしてしまうのです。偏食や丸のみは健康への影響を考慮し、丁寧な対応をしましょう。

偏 食


偏食があると、極端に偏った食事になる傾向があります。脂っこいものは肥満に、ヘルシーなものはエネルギー不足になど、栄養バランスが崩れ健康状態に影響も。しかし、無理に食べさせる対応は本人にとって苦痛となり、食事を楽しめないことで拒食につながる可能性もあります。子どものわがままではないことを理解し、拒食につながらないよう、食事そのものを楽しめるように配慮します。

丸のみ


ものを噛むには歯の上に食べものを舌でのせていく動きが必要です。その動きができないと丸のみに。咀嚼の回数が少ないと、満腹中枢が刺激されないので、過食になる傾向があります。また、舌の動きが少ないと、言葉が不明瞭になり、会話が聞き取りづらくなる場合も。咀嚼できずに飲み込むため、窒息のリスクもあります。

教えてくれた人/言語聴覚士 田中春野
イラスト/妹尾香里
取材・文/オフィス朔
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PriPriパレット 2024年8・9月号

PriPriパレット 2024年8・9月号

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