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支援のアイデア

巡回相談を活用しよう!①

発達に特性のある子や様子の気になる子が、何に困っていて、どうすれば楽しく園生活が送れるようになるのか、専門家に相談したいと思ったことはありませんか?巡回相談は、発達支援の専門家が園を訪れて、保育についてのアドバイスを行う支援です。じょうずに活用して、日々の保育に役だてましょう。
巡回相談とは?
巡回相談とはどのような支援制度なのでしょうか。誰に向けての支援で、どのような専門家が来るのかなど、基本的な内容を確認しましょう。
気になる子の支援のコンサルテーションを
発達障害の有無にかかわらず、園生活に困りごとのある子には適切な支援が必要です。子どもがなぜ困っているのか、どう対応すべきかがわからず、専門家のアドバイスを受けたいときに活用できるのが、一般的に巡回相談と呼ばれている「巡回相談支援」です。発達障害者支援施策のひとつとして2011年に「巡回支援専門員整備事業」がスタート。巡回支援専門員が保育園や幼稚園などを訪れ、保育者の相談に応じる巡回相談支援が始まりました。
自治体主体の事業のため、内容に違いがある
巡回支援専門員整備事業は地方自治体が扱う事業であるため、必要な手続きや手順、訪問回数や対象児の人数制限など、自治体によって内容に違いがあります。地域によっては専門員の確保が難しかったり、管轄内にある園の数が多かったりして、希望する園に対して、訪問回数が十分でないこともあります。1回の巡回相談支援でも得られるメリットは小さくありませんが、希望する園が少ないままでは事業自体が整備されていきません。手厚い支援を受けられるように、積極的に活用しましょう。
\ 巡回相談のメリットは? /
子どもだけでなく保育者にも園にもメリットがある巡回相談。支援を受けるとどんなよいことがあるのか、具体的に見ていきましょう。
1. 子どもをより理解できる
発達の特性だけでなく成育歴や園の環境、保育者の関わり方から子どもを総合的に捉える専門員の見たてが得られます。また、巡回相談を依頼する際には、子どもの情報を専門員に伝える必要があり、そのためその子の得意や苦手、特性などを丁寧に観察する過程で、子どもへの理解が一層深まります。
2. 専門性を反映した保育がわかる
保育の一般的なアプローチとは異なる、専門的な発達支援の方法を知り、それを普段の保育に生かせるようになります。自治体によっては、ことばの遅れがある子の巡回相談には言語聴覚士が対応するなど、園の依頼内容から判断して、様々な分野から適した専門家が派遣されることもあります。
3. 自分の保育を客観的に振り返られる
自分の保育を俯瞰的に見ることで、口頭でのみ指示をしていたといった関わり方や、掲示が多かったなどといった環境が、子どもの課題の要因になっていたとわかる場合もあります。逆に、意識していなかったよい関わり方も自覚でき、日々の保育の目的がより明確になるといった利点も。
4. 園の保育環境が変わり誰もが過ごしやすく
巡回相談で得られた見解や助言を保育者全員で共有し、園全体で支援に関われると、保育者間のチーム力も高まります。支援を必要とする子が楽しく過ごせる環境は、ほかの子にとっても同様です。支援のために園全体の保育が変われば、誰もが輝ける保育環境に近づけるでしょう。
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保育者が自信を持って支援でき、子どもが安心して過ごせる
教えてくれた人/
星槎大学大学院教育実践研究科教授 阿部利彦
イラスト/山川はるか 
取材・文/仲尾匡代
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掲載されているのは

PriPriパレット 2024年10・11月号

PriPriパレット 2024年10・11月号

4,5,10,11ページに掲載

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