「飛び出してしまう子」への対応
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園で見られる困っている子どもの姿。同じように見えても、背景や特性は様々で、必要な支援も異なります。この連載では、園での事例を取り上げ、支援のあり方を学びます。今回は、「飛び出してしまう子」です。 | |
「飛び出す」行動だけにとらわれないで クラスのみんなと一緒に活動をしている場面で、突然、保育室から飛び出してしまう子どもがいます。その度に、保育者は声をかけたり、活動が止まったりすることがあるでしょう。「急に出て行かないでね」と、子どもと約束をしてもくり返してしまうので、対応に悩んでいるという保育者の声もよく聞きます。そうした子には保育者が一対一でつき添い、対応することで、子ども自身が納得して気持ちを切り替えられる経験を積めるとよいでしょう。 そのためには、子どもが「急に飛び出す」という表面的な現象だけにとらわれず、その子どもの行動の裏にある原因を探るところから、支援の方法を考える必要があります。 |
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あそびたい気持ちを我慢できず、飛び出してしまうAさん 園庭にある新しい遊具がお気に入りの4歳のAさん。製作の時間には、製作物を完成させると衝動的に飛び出していきました。ドアに鍵を掛けても、ゴミ箱に登って開けてしまいます。 |
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手持ち無沙汰にならない工夫を 製作活動に参加していたAさんが、製作物の完成後に飛び出したのは、手持ち無沙汰になって、お気に入りの遊具であそびたいという欲求が生まれたためでしょう。 このような場合には、今やっている活動が終わったら何をするのか、お気に入りの遊具でいつあそべるのかなど、予定を伝えておくことをおすすめします。 製作の時間であれば、完成させた製作物を使ってあそべるようにするのも一案です。 |
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園での支援実例 | |
やってみたい!楽しめる過ごし方を提示 製作物を使ってあそぶ提案をしたところ、Aさんは製作物ができた後も室内で過ごせるようになりました。友だちとくり返しあそぶ姿が見られるようになり、クラス全体としてのあそびの発展にも。製作物であそべない場合は、作り終えた子どもたちが手持ち無沙汰にならないよう、絵本や粘土などの室内で取り組めるあそびを用意しました。 |
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教えてくれた人/ 公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美 イラスト/ナカムラチヒロ 取材・文/こんぺいとぷらねっと |