コミュニケーションを育む①
子どもとのやりとりがうまくいかない、という悩みを耳にします。コミュニケーションがうまくとれない理由はなんでしょうか。言語聴覚士がお答えします。 | |
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人への興味を育て、関わる楽しさを伝える コミュニケーションとは互いに意思や感情、思考を伝達し合う行為。このコミュニケーションに課題のある子は他者の話に興味を示さない、自分の話ばかりしてしまうなどの姿が見られます。自閉スペクトラム症(ASD)の場合、人に対する興味が乏しく、他者と視線が合いづらいなど、コミュニケーションの難しさを抱えます。知的発達がゆっくりな子は、人への興味はあるものの、やりとりすることばが出づらい場合が。そして、他者とコミュニケーションが少ない子は、実はコミュニケーションをとりたいのにうまく伝えられないかもしれず、自己肯定感が下がっていることがあります。子どもの様子からはわからなくても、悲しい思いをしていたり傷ついたりしている場合も。保育者はそうした思いをくみ取りながら、人と関わる楽しさを伝え、コミュニケーションをする経験を積む機会をつくりましょう。 |
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コミュニケーションは「受信」と「発信」のくり返し 三項関係がターニングポイントに ここでは、コミュニケーションは「受信」と「発信」から成り立つと定義し、この2つを分けて考えてみましょう。コミュニケーションの力はこの2つをくり返すことで発達していきます。新生児は大人の視線や表情を「受信」し、笑ったり泣いたり、喃語を発したりすることで「発信」します。生後約8か月頃からは人見知りをし、親しい大人以外とはやりとりがうまくいかない時期もありますが、「親しい人」と「自分」の二項関係から、「自分」と「他者」が同じ対象物を見ながらやりとりをする三項関係に広がり、ことばも増えていきます。 |
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非言語的コミュニケーション | |
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言語的コミュニケーション | |
教えてくれた人/言語聴覚士 田中春野 イラスト/妹尾香里 取材・文/オフィス朔 |