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LD(学習障害)かと思ったら②

どんなことが関係している?
LDの原因と特性
脳と脊髄からなる中枢神経系に、何らかの機能障害があると推定されるLD。表れる特性を見ていきましょう。

原因はひとつに限らないケースも

視力、聴力に問題がなくても、情報を認識する脳機能に何らかの原因があり、読み、書き、計算に困難が生じるのがLDの特性。学習場面では多くの工程を踏みますが、LDがあるとインプットやアウトプットに課題が見られます。LDの影響で学習に支障が出るほか、併存するほかの発達障害の影響も珍しくなく、自閉スペクトラム症(ASD)の特性「細部にこだわり全体が捉えられない」や、注意欠如・多動症(ADHD)の特性「集中できない。情報の取捨選択が苦手」などが学習の支障となり、LDのように思われてしまうこともあります。
ディスレクシア( 読字障害 )
“話す” “聞く”に困難はないのに、文章が読めない
語彙が豊富で、話すことや聞くこと、視力にも問題がないにもかかわらず、読みに困難が生じます。ワーキングメモリーに課題があると、先に読んだ文字を記憶できず、単語として捉えられなかったり、文を記憶できず、内容が把握できなかったりします。また、文字と音とが正しく結びつかなかったり、視覚情報が脳で正しく処理されず、左のように文字が歪んで見えることもあるようです。
ディスグラフィア(書字障害)
読めるけれども、文字や文章が正しく書けない
読みに問題がないにもかかわらず、文字や文章を書くことに困難が生じます。鏡文字になる、似たひらがなを書き分けられない、ノートのマスから文字がはみ出る、記入スペースにバランスよく文字が書けないなど、その特性には個人差があります。目と手の協応に困難さがあり、思うように書けないこともあるようです。
ディスカリキュリア(算数障害)
数の概念が弱かったり、数えたりするのが苦手。
量がイメージしづらい

数の大小の判断がつかない、「1、2、3……」と数唱できてもそれが物の個数と結びつかない、年齢を重ねても簡単な計算ができないなど、ディスカリキュリアには様々な特性が見られます。特に計算は、複数の数字を一時的に記憶する必要があるため、ワーキングメモリーの処理能力が大きく関与し、それが低いと困難が生じます。
教えてくれた人/
明治学院大学心理学部教授 海津亜希子
イラスト/木下綾乃
取材・文/仲尾匡代
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PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

32,34,36ページに掲載

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