My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

思いに寄り添う保護者対応②


要求の背景にある保護者の不安を理解する

発達に特性のある子の保護者からの要求の背景には、我が子の発達に対する不安があり、保護者は「こうしたら子どもの状態がよくなるかもしれない」と考えて提案をしてきています。そのような〝わらにもすがる〟保護者の思いを理解して受け止め、対応する必要があります。
実際にその要求を受け入れるか否かは、その子に必要な支援か、園の環境で可能かなど検討が必要です。その子の園での様子に照らし合わせて、職員間でも意見を交わし判断しましょう。園で対応できない場合は、後日きちんと理由を添えて説明を。結果的に保護者の要求を叶えることができなかったとしても、きちんと話を聞いて検討してもらえたことから、保護者の保育者に対する信頼感が生まれます。「また気になることがあったら相談してみよう」と思える関係づくりにもつながるでしょう。
CASE1 児童発達支援と同じ対応を求める
園の環境や指示の仕方について細かい要求が
児童発達支援事業所に通う子どもの保護者に、園の環境づくりや保育者の指示の仕方について、児童発達支援と同じようにしてほしいと言われました。「絵カードを見せて指示をしてほしい」など、支援の方法を具体的に要求されます。
こう対応!
児童発達支援との連携のきっかけに
児童発達支援で絵カードを使って子どもとやりとりができている場合に、園でも同様の配慮をするなど、一貫した支援は子どもも安定するプラスの側面が。なるべく園でも同じ対応ができるのが理想です。ただし個々の課題に応じた活動をする児童発達支援と、集団で活動する園では環境も子どもの姿も異なり、同じように実践するのは難しいことも。まずは児童発達支援と園がつながりを持ち、子どもの様子を共有するよい機会と捉え、連携していきましょう。
CASE2 子どもは興味を持っていないのに
就学先で困らないようにと指導を望む保護者
5歳児クラスの保護者から、就学後に困らないように「いすに座って話を聞くよう園で働きかけてほしい」「文字や数字に興味を持たないので、教えてもらえないか」など、現在の子どもの姿や興味とは異なる関わりを要求されます。
こう対応!
就学への不安を受け止め、育ちの様子を丁寧に伝えて
就学を意識し始める時期になり、保護者に焦りや不安が生まれ、園に頼りたい気持ちなのでしょう。園では子どもの発達に応じたあそびや生活を通してさまざまなことを経験し、集中力や興味関心などを育んでいること、それが就学後の学習などにもつながることを伝えましょう。また、園で今その子が関心のあることや友だちと関わる姿などとともに、日々の成長の様子を伝え、保護者の不安が少しでも軽くなるように関わることも大切です。
気をつけましょう!
家庭でうまくいっている手だては前向きに検討を
保護者からの要求のなかでも、実際に家庭で行っている対応や使っているグッズがある場合は、「それは家庭での場合で、園とは環境が違うので」などと受け流さず、園でも前向きに取り入れることを検討しましょう。保護者に家庭での実践の方法や子どもの様子を聞くだけでも、園での関わりのヒントを得られるかもしれません。
教えてくれた人/筑波大学名誉教授 徳田克己
イラスト/コウゼンアヤコ
取材・文/小栗亜希子
お知らせカテゴリー

この記事が詳しく
掲載されているのは

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

58,60ページに掲載

詳細はこちら

関連キーワード