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子どもとつながる絵本①

子どもに対し「関わりを持ちづらい」「どう関わればよい?」と不安や戸惑いを感じたことがある保育者は多いのではないでしょうか。無理せず、楽しく、子どもとコミュニケーションを図るのにぴったりなのが絵本。そのワケをご紹介します。

つながりづらいと感じたときに

子どもたちのなかには、保育者が一緒にあそんでいても、あそびが長く続かない、ことばへの反応が薄いといった子がいます。関係を築こうと働きかけても、保育者自身が子どもと気持ちを共有できている実感が乏しいせいで、どう接すればいいのかわからず迷いを感じる場面もあるのではないでしょうか。
関東学院大学講師の長澤真史先生は、「関わりを持ちづらい」と感じる子どもとのコミュニケーションを絵本が助けてくれることがあると語ります。絵本が果たす役割と読み聞かせを通した関わり方について伺いました。

絵本は最高のコミュニケーションツール
子どもとの間に生じるズレの正体は
保育者が子どもに対して「関わりを持ちづらい」と感じる理由について、長澤先生は、その背景に「子どもとつながっている実感」の乏しさがあることを、人が他者とつながる力の発達を踏まえて指摘します。
子どもの発達過程において、はじめは自分と他者(保護者など)、または自分とおもちゃというように、自身と特定の対象との間に一対一の関係(二項関係)をつくりコミュニケーションを行います。
次の段階では、自分と特定の対象に加えて、他者(大人や友だちなど)を加えた三者間での関係(三項関係)が生じます。この関係において、大人が指差す対象に子どもが視線を向けたり、逆に、「あれ、見て」と大人の注意を対象に向けさせたりすることを、発達心理学の世界では「共同注意」と呼びます。相手とあそびの目的を共有できる、または「楽しい」という情動を共有できるのも、共同注意が成立しているからにほかなりません。

コミュニケーションの発達の過程
ひとりであそぶ(二項関係)
発達の初期段階では、子どもは自分と特定の対象という1対1の関係を築いて、そのなかでコミュニケーションを行います。対象となるのは、人以外にも、おもちゃや物など様々です。
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一緒にあそぶ(三項関係)
次の段階では、大人や友だちなどの相手が加わって、自分-対象-相手という三者の関係が生まれます。特定の対象に注意を向けたときに、相手も同様に注意を向けていることを認識できる状態です。
教えてくれた人/
関東学院大学教育学部 こども発達学科講師 長澤真史
イラスト/nanako
取材・文/柴野 聰
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PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

51,52,54.ページに掲載

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