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支援のアイデア

「いつもぼんやりして見える子」への対応①

自己主張が少なく、ぼんやりしているように見える子がいます。ともすると本人が困っていることに保育者が気づきにくく、適切な支援が受けられない場合が。実際の園での事例をもとに、支援のあり方を考えます。
困っていることに気づかれにくい
集団生活のなかで行動が遅れがちで、いつもぼんやりしているように見える子どもはいませんか?
活動中に大きなトラブルを起こすわけでもなく、クラスを乱しも しませんが、実際は人知れず困っ ている場合も。なんとなく性格がおとなしい子と捉えられていると、適切な支援が受けられないことがあります。
このような子どもは、苦手があっても気づかれず、うまくいかないことを日常的に経験している可能性があります。ほめられる・認められる経験も少ないために、「どうせ自分はできない」という思い込みが強くなり、主体的に考えたり、行動する力が育ちにくくなる傾向があります。
~マズローの欲求5段階説をもとに~
「やってみたい」意欲が湧いてくるには
自己肯定感とは、物事に取り組む意欲の源です。下図のように、安定した生活リズムや環境のもと、楽しい経験が重ねられると、達成感につながり、自己肯定感が育まれます。
↑画像拡大
根源的な欲求が満たされてこそ自己実現の欲求が生まれる
人間の欲求は生存に関わる欲求が十分に満たされると社会的欲求が高まり、最終的に自己実現の欲求が生まれるとされています。自己実現とは、子どもでいうと新しいことにチャレンジする気持ちや向上心のこと。
行動がワンテンポ遅れ、聞き返しが多いAさん
保育者の話を聞かず、いつもワンテンポ遅れて動く4歳のAさん。不注意からよくものにぶつかったり、姿勢が崩れやすかったりする姿も気になります。
「自分でできた!」達成感、満足感を育てる
忘れ物やうっかりミスが多い子どもは、ほかの人が気づく刺激に対して注意が向きにくい傾向があります。保育者が話していることに気づかなかったり、集中して聞けなかったりするため、行動が遅れがちです。
このような子に向けて話をするときは、しっかりと注意をひき、やることを視覚化するなどして、はっきり簡潔に伝えることを意識しましょう。また、ハイタッチなど明確なフィードバックを用いて、「自分でできた」と達成感につなげる工夫が必要です。
自分から動くことが少なく、いつも指示待ちのBさん
知的な遅れがあり、加配保育者がついている5歳のBさん。クラスでのトラブルはほとんどないものの、自発的な行動が少なく、保育者の指示待ちになりやすい傾向があります。
「楽しい!」を増やして意欲を引き出す
経験を積み重ねるなかで、園生活はなんとなく流れに乗ってトラブルなく過ごしているけれど、いつも大人の指示待ちだったり、自発的な活動が少ない子どもがいます。このような子どもは、みんなと同じペースで同じゴールを目指すのではなく、本人のペースやタイミングに合わせて、活動の工程を絞って行いましょう。
自分のペースで活動し楽しむ経験は、自分でできた達成感にもつながっていきます。クラスを居場所にして、「もっとやってみたい」の意欲を育てましょう。
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

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