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支援のアイデア

「いつもぼんやりして見える子」への対応②

自己肯定感を育む土台づくりを
子どもが「チャレンジしたい」と意欲をもつには、生活リズムの安定と、安心して過ごせる環境が大前提にあります。幼児期においてはこの基盤が重要で、安定した環境があって初めて、子どもたちは楽しくあそべて、不安なく「できるかも」とイメージをもてるようになります。この主体的な意思のもとで、挑戦が成功したときに達成感が生まれ、そういった経験の積み重ねの上に自己肯定感が育っていきます。ですから、子ども自身が不安に感じていたり、よくわからないと思っていることでたまたまうまくいき、大人から「できたね」とほめられても、その経験は達成感にはつながりません。
なお、発達に特性のある子どもは、「やってみたい!」と意欲をもつポイントやタイミングが、ほかの子どもと違うことがあります。そのため保育者は、本人の内から湧き出る意欲を見逃さずに支えていく必要があります。意欲を抱いたこと自体をしっかりと認め、できたことに対して心地よいフィードバックを示す関わりが大切です。ハイタッチやハグなど、大きなリアクションを心がけましょう。
いつもぼんやりして見える子の背景
● 周囲から遅れる・不注意で不器用
● 指示待ち・理解がゆっくり
● こだわりがあり進まない
● 生活リズムが乱れている
小さなこだわりがあって食事に時間がかかるCさん
大きなトラブルはないものの、自分のなかでの決めごとやこだわりがあり、立ち尽くしていたり、パニックになったりする3歳のCさん。食事もなかなか進まず、イライラする姿も見られます。
楽しい時間を増やす工夫を
こだわりの強い子どもが食べ慣れない食材や調理法の料理を前にして、食事が進まないことは珍しくありません。そのような子どもにとって、食事の時間が安全・安心で楽しいものになるよう、まずは食べられるものを中心に。年齢的にも食の経験を広げるより、楽しく過ごすことを優先しましょう。
また、席を決め、声かけを一定にして、何をするか、どうなったら終わりか、次に何ができるかといった先の見通しを、具体的に視覚的に伝えるなどの工夫もあるとよいでしょう。
生活リズムが乱れ登園できる日が少ないDさん
朝食を摂らずに登園したり、急にお休みしたりする4歳のDさん。登園しても眠そうで、表情が乏しく、体力もないせいか、座り込んでいることが多く、友だちとあそぶ姿があまり見られません。
無理なく活動量を増やしていく
生活リズムが整わず、登園頻度が極端に少ない子どもは、友だちがつくりにくく、園に来てもあそびが充実しないことが多いでしょう。睡眠や食事がしっかりコンスタントにとれているかなど家庭での生活が気になりますが、保護者へのアプローチは、慎重にする必要があります。
園では活動量を徐々に増やして体力をつけ、その子にとって楽しい経験をたくさん積めるよう支援しましょう。友だちとの会話についていけない場合は、保育者が仲だちして関係づくりのサポートを。
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

PriPriパレット 2024-2025 12・1月号

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