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支援のアイデア

「助言を受け入れにくい子」への対応①

困りごとが起きたとき、アドバイスを聞き入れにくいように見える子がいます。耳を貸さない姿は一見同じように見えても、特性や背景はさまざま。この連載では園での実例を取り上げ、支援の方法を考えます。

成長に伴って、感情をコントロールできるように

思いの行き違いから、子どもが友だちとトラブルになるシーンがあります。助言や注意を受けても、低年齢のうちは、ことばが出なかったり、自分の気持ちがおさえられなかったり、相手の気持ちを想像できなかったりして聞き入れられないことも。しかし、成長に伴いその頻度は減っていきます。
ところが、ある程度年齢が上がっても、自分の気持ちをコントロールできず、助言や注意を受け入れられない子がいます。これには、感情の発達が深く関わっています。
一般的に、生後6か月頃までに「喜び」「嫌悪」などの基本的な感情が生まれます。1歳後半頃には自他を意識するようになり、共感や羨望などの他者を意識した感情が芽生えます。2歳後半~3歳頃には他者との関わりが増え、社会のルールなどを理解し始めます。罪悪感など複雑な感情をもつようになるのもこの頃です。

連動しながら発達する感情と社会性

家族や友だちとの関係のなかで、複雑な感情を獲得していく子どもたち。
他者の心にも気づきながら、少しずつ社会性を身につけていきます。
生後6か月頃まで
●「喜び」「悲しみ」「嫌悪」「驚き」「怒り」などの基本的な感情が芽生える。
1歳後半頃
●「照れ」「羨望」「共感」といった、他者を意識した感情が現れる。
●鏡を見て自分だとわかるようになり、自己意識が芽生える。
●大人にやっていいか確認する。
2歳後半~3歳頃
●「誇り」「恥」「罪悪感」といった、より複雑な感情が見られるようになる。
●良いこと・悪いことを区別したり、「公平さ」が気になり始める。
3~4歳頃
●じょうずにできて満足する、すねて困らせる、叱られて悲しいけれど泣かない、見られて恥ずかしいなどの感情も理解できるようになる。
●自己主張(自分の要求や意見を相手に伝えること)が急激に増加する。
●友だちを誘ってあそぶ姿が見られたり、自分のやりたいことを伝えられるようになったりする。
3~6歳頃
●得意になる、照れる、嫌だけど我慢するといった複雑な感情も理解でき、感情表現も豊かになる。
●自己抑制(相手のために自分の欲求や行動を制限すること)が徐々に発達してくる。
●友だちに譲る、欲しいものを待てる、決まりを守るなどができるようになる。
●仲間意識が育ち、他者の気持ちを徐々に理解する。
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年2・3月号

PriPriパレット 2025年2・3月号

26,28,30ページに掲載

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