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支援のアイデア

「場面緘黙」の子が過ごしやすいクラスを②

場面緘黙の基本症状や特徴

園での様子を知る保育者が、支援のキーパーソンに

このように症状が多様なため、場面緘黙の子は単に「おとなしい子」とみなされ、見過ごされることがあります。また成長すれば自然に治るだろうと支援されぬまま困りごとが増え、登園拒否につながるケースも。下記のような症状や特徴が見られたら「この場で声が出ないのかもしれない」と場面緘黙をうたがってみましょう。場面緘黙の子は園で「何に困っているのか」を伝えられないため、園での姿を一番近くで見ている保育者が困りごとに気づき、理解者になって支援することが重要です。
①言語能力はある
家庭などでは普通に話しており、会話すること自体はできる。
②場面によって話せない
園や学校など、特定の場面で話せなくなる。
③1か月以上続く
徐々に環境に慣れて話せるようになる場合は場面緘黙に当てはまらない。
④“母語が外国語”は関係ない
外国にルーツを持つ子どもが、日本に来て日が浅く、家庭では母語である外国語を話していて、園では日本語に慣れていないために話せない場合は当てはまらない。
⑤自閉スペクトラム症(ASD)など、ほかの障害を併せもつ場合も
自閉スペクトラム症(ASD)や軽度知的障害など、ほかの障害を併せもっている場合もある。その場合は、その障害と場面緘黙の特性のどちらにも配慮した支援が必要。
支援のポイント
過ごしやすいクラスにするために
場面緘黙の症状を示す子どもが、過ごしやすくなるには、どのような配慮や支援が必要でしょうか。そのポイントをご紹介します。
POINT 1

状況別に子どもの実態を把握する
「園で子どもが話せない」と気づいたらまずは園と家庭での様子を把握します。「この状況では話せないけど、この状況では話せる」を具体的に理解することが適切な支援の第一歩です。


園での発話の様子や困る場面、友だち関係を把握する

まずは発話の状態を「どこで」「誰といるとき」「何をしているとき」の3つを組み合わせて把握しましょう。さらに、話せないことで子どもが園で困っている場面、子どもの友だち関係を確認します。
◻︎保育室で、園庭で、あそんでいるときに友だちと話すか。
◻︎保育室で、園庭で、あそんでいるときに保育者と話すか。
◻︎給食の時間に、保育者や友だちと話すか。
◻︎誰もいない場所で、保育者と話すか。 など

家庭での子どもの様子をできるだけ詳しく聞く

保護者にいきなり「場面緘黙」の可能性を伝えることはNG。まずは家庭での様子を聞き、その子が園で話さないなど、保育者が気になる様子を十分説明してから相談を。習い事や買い物など、家庭以外での発話の様子も確認するとよいでしょう。
◻︎家庭で、家族と普通に話すか。
◻︎家庭で、たまに訪れる親戚と話すか。
◻︎保護者や親戚と電話で話すか。
◻︎家庭で、幼なじみや小さい頃から知っている
◻︎友だちと話すか。 など
教えてくれた人/
KBS発達教育支援 研究所代表 園山繁樹
イラスト/かわいひろみ
取材・文/小栗亜希子
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年2・3月号

PriPriパレット 2025年2・3月号

51,52,54ページに掲載

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