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支援のアイデア

「場面緘黙」の子が過ごしやすいクラスを③

支援のポイント
過ごしやすいクラスにするために
場面緘黙の症状を示す子どもが、過ごしやすくなるには、どのような配慮や支援が必要でしょうか。そのポイントをご紹介します。
POINT 2

理解してもらえる、安心できる環境をつくる
話せない子どもが安心して生活できる環境を整えることは、話せるようになるための大切な下地づくりです。配慮するポイントをご紹介します。


「話すこと」にプレッシャーを与えない

保育者は「声に出してみて」「お返事できる?」などと発話を促したくなるかもしれませんが、それは一番やってはいけない対応です。その促しがプレッシャーになり、より不安が増すことも。まずは、子どもが今のままで安心して過ごせることが大切なので、「発話」だけにこだわるのはやめましょう。

落ち着く環境を整え信頼できるような関わりを

場面緘黙の子どもは、話はできなくても保育者のことばをよく聞いているので、「面白そうね」「よくできたね」など返事の必要がないポジティブな声かけを。子どもの思いを代弁することで、あなたを理解しているよと伝えて信頼関係を築きます。子どもによっては、パーテーションで仕切った落ち着く空間で、穏やかで優しい性格の子と一緒に活動するなどの配慮も有効です。
POINT 3

活動に参加し、話すための取り組みを
園での活動に参加して、その子の持つ力を発揮できるよう、保育者の工夫で、少しずつ意欲を引き出していきましょう。


「話す」に代わる「伝わる」手段で成功体験を積み重ねる

話せないことで特に困るのは、トイレなどの生理現象への意思表示です。これは必ず伝える手段が必要なので、保育者を2回トントンする、絵カードを見せるなど、子どものやりやすい方法を探しましょう。また、伝えることが難しい子どもには、保育者がこまめに声かけをします。こうしたやり取りがうまくいくようになると、園生活での不安が減るとともに、成功体験が積み重なり、「話す」意欲につながるでしょう。
さいごに
子どもの「心の声」を聞いて保育者だからこそできる支援を
場面緘黙の子を園で支援するためには、一人ひとりの症状に合わせ、その子の「心の声」を聞いて慎重に関わりを考えます。保護者とも連携し、子どもの想いや意思は家庭で確認してもらうとよいでしょう。安心感を高め、子どもがコミュニケーションをとる楽しさを感じられるように、保育者だからこそできる支援を実践してください。
教えてくれた人/
KBS発達教育支援 研究所代表 園山繁樹
イラスト/かわいひろみ
取材・文/小栗亜希子
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年2・3月号

PriPriパレット 2025年2・3月号

51,52,54ページに掲載

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