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そのひとこと、大丈夫?「思い込み」を見直そう

園のなかでも、悪意なき思い込みや偏見は意外とあるものです。こうした保育者の思い込みや偏見から生じる言動は、子どもや保護者、周りの保育者にどんな影響を与えるのでしょう。
「隠れたカリキュラム」をつくり出す、悪意なき思い込み
保育者の無意識の言動により、意図せぬままに子どもたちの価値観や固定観念が形成されることを「隠れたカリキュラム」といいます。例えば、園で使われる個人マーク。飛行機や車などは男児に、いちごやうさぎなどは女児にと振り分けられがちであり、「ジェンダーバイアス」(性差で生じる偏見や先入観、固定観念)を子どもたちに抱かせます。また「遠足の行き先など活動内容は保育者が行う」という保育者の思い込みが、意図しなくとも隠れたカリキュラムとなって、子どもたちに「子どもは何も決められない」という思い込みを植え付けてしまうのです。
対 子ども
●非常勤の保育者に「(担任ほどは)子どもをわかっていない」と考える主任保育者。
●新人保育者に「若いのに体力ないね。ちゃんと食べているの?」
対 保育者
●非常勤の保育者に「(担任ほどは)子どもをわかっていない」と考える主任保育者。
●新人保育者に「若いのに体力ないね。ちゃんと食べているの?」
「悪意なき思い込み」が差別、偏見に繋がり、相手を不快な気持ちに
例えば「男なのに器用ね」の発言は「男性は細やかな作業に向かない」という思い込みによるものであり、それは悪意なき思い込みのひとつに。こうした思い込みに基づく言動は、悪意がなくても「マイクロアグレッション」(意図の有無に関わらず、特定の属性を軽視するような言動)として、相手を傷つけてしまいます。「若いママなのにきちんとしていますね」などほめたつもりでも、ことばの裏に「若いママ=未熟な子育て」という偏見があり、相手にいやな思いをさせてしまうのです。
このように、悪意なき思い込みは、性別、年齢、ルーツ、障害などの違いに対して生じがちで、何気ないことばがけや環境設定、活動のなかに表れやすいものです。
教えてくれた人/
インクルージョン研究者・一般社団法人UNIVA理事
野口晃菜
イラスト/イオクサツキ
取材・文/仲尾匡代
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年6・7月号

PriPriパレット 2025年6・7月号

48ページに掲載

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