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支援のアイデア

見通しを立てやすくするツール

活動の切り替えができない、不安感が強くてパニックを起こしやすいなどの困りごとが多い子には、視覚支援を用いたスケジュール表や手順書の活用がおすすめです。特性に合ったツールで、子どもの困りごとを軽減しましょう。

スケジュール表
スケジュール表は、その日の活動予定を示す絵カードや写真を順番に貼り、子どもが活動の見通しを持ちやすくするためのツール。「今日は○○をするんだ」「○○をしたら、次は□□をするんだな」と予定がわかると、安心して活動できるうえ、活動に期待を持って生活できるようになります。


時計カードつき

自分で時計が読める子には、活動内容の絵カードの横に活動の開始時刻を示した時計の絵カードを貼ってみましょう。スケジュール表を見ながら、事前に「(部屋にある)時計の針がこの位置になったらお片づけよ」などと声かけすると、活動の切り替えがスムーズに。
手順書
給食の準備・片づけ、着替えやトイレなどの動作を細かく順番に示した手順書は、子どもに「次は何をすればいいのか」をわかりやすく伝えるためのツールです。口頭での説明だけでは理解が難しい子も、手順書があれば、ひとりでできるように。「自分でできた」という経験が自信と自己肯定感を育みます。
プログラム表
遠足の日の行程をまとめた、ポケットサイズのプログラム表。外出先で子どもが見たいときにすぐ取り出せて、持ち運びにも便利です。遠足だけでなく、運動会やお遊戯会など、ふだんと異なる行事は活動の見通しが持ちにくいので、このようなプログラム表があると安心です。
スケジュール表や手順書をじょうずに取り入れ、指示がなくても自分で動ける力を
発達に課題のある子には、耳から入る情報より目から入る情報のほうが理解しやすい視覚優位の特性や、ワーキングメモリー(作業記憶)※ が弱い特性があることも。このような特性がある子は、ことばだけで指示を出されても、その内容や意味を理解しにくく、指示どおりに動けない場合があります。また、日常的な活動の手順をくり返し伝えても、なかなか覚えられないことも少なくありません。
このような発達の特性によって生じる困難さの軽減に役だつのが、絵カードや写真を組み合わせて作るスケジュール表や手順書です。
スケジュール表や手順書を使う際は、使う子ども一人ひとりの特性に合ったものを用意することが大切です。1枚の紙やボードに絵カードを並べて貼った「リスト式」は、一度にその日の活動や作業手順を確認しやすく、見通しを立てやすいですが、複数の絵カードに目移りして、混乱してしまう子も。そのような場合は、活動や手順がひとつずつ目に入る「めくり式」が向いています。
また、手先が不器用、指の力が弱いなどで面ファスナーの絵カードをうまく外せないときは、マグネットでつけ外しできるようにしましょう。ほかにも、シールを貼る、好きなキャラクターを活用するなど、子どもが楽しんで使える工夫をすることも大切です。
教えてくれた人/
岡山大学学術研究院 教育学域教授 佐藤 曉
イラスト/seesaw. 
絵カードイラスト/鹿渡いづみ 
撮影/久保田彩子(世界文化ホールディングス)
取材・文/森 麻子
お知らせカテゴリー

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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年10・11月号

PriPriパレット 2025年10・11月号

24,26ページに掲載

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