My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

海外にルーツのある保護者①

発達に特性のある子どもの保護者とのやりとりは、思いに寄り添った接し方が大切です。様々なケースを取り上げて、よい関係を築く対応をご紹介します。
子どもの就学を控えて、心配や不安が募る保護者の思いを理解し、よりよい関わり方を考えます。
海外にルーツがあり、発達に特性があると思われる子の保護者へは、言語や文化の違いに配慮した対応を。
対応のコツ
子どもについて伝える時は短く・はっきり・具体的に
日本語が苦手な保護者と話す時は、極力短くてシンプルな日本語を使うように意識し、具体的にはっきり伝えましょう。また日常的に子どもの園での様子を共有したり、「Aくんのことで困っていることはありませんか?」と声をかけたりして、園は一緒に子育てをするパートナーだと示します。保護者が安心できると、徐々に会話も増えていくでしょう。
対応のコツ
医療機関を受診してもらうことも視野に入れて
園で日本語を話さず、ことばを理解していないように見える子は、日本語がわからないか、発達に特性があるか、どちらの可能性も考えられます。一緒に様子を見て保護者に寄り添うと同時に、できれば外国語が通じる医療機関の受診という選択肢を示します。詳しく診てもらえて、必要なら専門機関も紹介してもらえるというメリットとともに伝えましょう。
日本で子育てする不安や不自由さに寄り添う
 近年日本に在留する外国人数は増加傾向にあり、2020年の統計では外国籍等の子どもを受け入れている保育所等は全体の68%超にのぼります(※)。それらのなかには発達に特性がある子どもも一定数いると思われますが、言語の問題もあり、実際に特性があるのかの判断が難しいケースも多いようです。
 発達に特性のある子がいる、海外にルーツのある保護者を支援するには、当たり前だと思われる事柄も丁寧に説明したり、文化や宗教の違いを前提に話を聞いたりする必要があります。また日本語が得意でない保護者には、その不自由さに寄り添った対応も欠かせません。その上で、子育てへの不安を受け止め、園でできるだけの支援を行い、その保護者にとって最も身近にいる頼れる存在になるのが理想です。子どもも保護者も園で孤立感や不安を味わうことなく過ごせるよう配慮しましょう。
教えてくれた人/
筑波大学名誉教授 徳田克己
東京未来大学 こども心理学部准教授 西村実穂
イラスト/コウゼンアヤコ
取材・文/小栗亜希子
お知らせカテゴリー