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支援のアイデア

ABAに基づくことばかけ 理論

何度注意しても子どもが気になる行動をとるのは、「どうしたらよいかわからない」「うまく気持ちを伝えられない」というSOSかもしれません。そんなとき、子どもへの関わり方や対応の道しるべとなるのがABA(応用行動分析)と、その理論に基づくことばかけ。一緒にABAの学びを深め、子どもの「できる」を増やしていきましょう。
I 応用行動分析 I
ABA<理論編>
ABAは、環境にアプローチして行動の変容を促す支援法
療育や教育の現場においてABA(応用行動分析)は、不適切な行動を減らして、よい行動を増やすために使われる心理学のひとつ。療育や教育だけでなく、医療福祉やスポーツ、ビジネスなど幅広い分野で活用されています。とりわけ療育分野では、自閉スペクトラム症(ASD)児への早期療育に高い効果が認められ、欧米の一部の国などでは標準的な支援として確立されています。
ABAでは行動の原因を〝性格や特性などの内面〟ではなく、その人を取り巻く〝環境〟にあるとし、その環境にアプローチした対応を考えます。関わり方やことばかけなどの〝環境〟を変えることで行動の変容を促すのが、ABAの特徴です。子どもの不適切な行動を変えようとする際、内面に注目して問題の解決を求めても、具体的な対応にはつながりにくい上、子どもと保育者の関係がこじれる原因になる場合もあります。一方、ABAは子どものよいところに注目し、ほめてよい行動を増やすアプローチ方法。そのため、行動の改善だけでなく、保育者も子どもをポジティブに捉えられるようになります。両者の信頼が深まり、子どもの行動と保育によい循環が生まれるのもABAのメリットです。
ABAはこんな視点から子どもの行動にアプローチするよ
よくない行動は「なくす」のではなく、「よい行動に置き換える」
よくない行動をなくすために、その行動を禁止すると、その行動はなくなっても、ほかのよくない行動に置き換わるだけで、よい行動にはならない場合もあります。ABAでは、よくない行動を「なくす」のではなく、「よい行動に置き換える」ことを大切にします。
よい行動はほめて、その行動の頻度を高める
行動には、「行動の直後によいことが起きると、その行動が増える」という原則があります。ABAでは、子どもの「できていること(よい行動)」に注目し、ほめることでよい行動がくり返され、定着しやすくなるようにします。
教えてくれた人/
NPO法人ADDS共同代表 竹内弓乃
イラスト/山本ケイタ
取材協力/石澤方理(逗子市教育委員会 教育研究相談センター)、
双葉保育園(神奈川県)
取材・文/森 麻子
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