保育のなかの造形あそび
日々の造形活動が楽しくなる
造形活動の本質とは
保育の中で、『造形活動』を行うのはなんのためでしょうか?保育室の壁を飾るため?それとも作品展で立派なものを展示するためでしょうか?
乳幼児期の造形活動とは、特別な芸術活動でもなく、大人が満足する見栄えのよい作品を作るためのものでもありません。造形活動とは、日々のあそびのひとつなのです。
例えば、ビリッと破った紙の形から何かイメージを見出したり、ポタッと垂れた絵の具の跡が面白いなーと思ったり……。「いーこと考えた!」といつも敏感にアンテナを張っている子どもたち。大人が思う以上に、子どもには高い美意識があります。そんなそれぞれの「思い」を表現し、大いにあそぶ時間こそが“保育のなかの造形活動”の本質です。
「結果」ではなく「過程」が大切
みんなが同じやり方で同じようなものを作る「お製作」と「造形活動」は違います。“今、子どもたちにとって何が楽しいのか?”を常に考え、彼らと同じ目線になって、一緒に発見し、共感し合いましょう。造形活動は、「結果」だけを見るのではなく、かいたり作ったりするその「過程」での子どもたちの「思い」を受け止めることこそが大切です。
監修・執筆・写真提供/馬場千晶(ばば ちあき)
銅版画作家、鶴見大学短期大学部 非常勤講師、仲町保育園や大森みのり幼稚園等の造形講師。主な著書に『保育園・幼稚園の造形あそび』(成美堂出版)、『美育文化ポケット』(公益財団法人美育文化協会)編集委員。
取材協力/大森みのり幼稚園(東京都大田区)