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発達障害の公表を悩む保護者への対応(後編)

発達障害の公表を悩む保護者への対応(後編)

ゆり先生からの相談(3歳児クラス担任/保育歴3年)
子どもに発達障害の診断があることを公表すべきか悩む保護者への対応は?

発達障害の診断があるゆうご君は、ことばで気持ちをうまく伝えられずにすぐ手が出てしまうなど、友だちとのトラブルが絶えません。今まで、診断のことをクラスの保護者に伝えていませんでしたが、友だちとうまくかかわれないことを心配したゆうご君の保護者から、診断があることを公表したほうが理解を得やすくなるのではないかと相談がありました。

佐藤先生からのミニアドバイス
発達障害を公表するかどうかの判断は慎重に
発達障害のある子が、障害について正しい理解のある環境で生活できることは、もちろん望ましいことです。しかし、周囲の理解を求めて障害の公表を行うことが、必ずしも期待通りの結果に結びつかないこともあります。

発達障害のある人に、偏見や差別的な感情を抱く人が少なからず存在すること、そして、安易な公表がかえって状況を悪くするケースがあることも念頭に置き、公表するかどうかの判断は慎重に行うことが必要です。また、園においては、公表のタイミングも重要です。クラスが落ち着かないときの公表は、たいてい裏目に出ます。クラスが落ち着き、担任と保護者の間に十分な信頼関係ができてから公表を考えましょう。

もうひとつ必要なのが“子どもの人権”に対する配慮です。おとなの場合、本人の了解なく公表することはあり得ませんが、園児の場合は、本人の意思確認は困難です。それでもなお公表するという場合、公表の目的は、あくまで子ども本人の利益のためであり、問題行動などの説明をするためといったおとなの都合で公表されるべきではありません。

なぜ支援の人が付ききりになるのか、合理的配慮が必要なのか、ということを説明するための公表であるか、園内で慎重に検討することが必要です。

お話/佐藤 曉(岡山大学大学院教育学研究科 教授)、北野雅子(大阪府貝塚市公立幼稚園 園長)
イラスト/みさきゆい 取材・文/森 麻子

 

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PriPri プリプリ 2018年7月号

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62,63ページに掲載

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