わかりやすい「要録」の書き方
書き方文例集~生活への取り組み
【3歳児】おもちゃをきっかけに園生活に慣れる
入園当初は保護者と離れるのがつらくて、玄関ロビーから離れず、泣くことも多かった。電車のおもちゃが大好きと聞いたので、玄関ロビーに線路を組んで電車を走らせたところ、興味を示し、保育者と徐々にあそべるようになった。ほかの園児も加わりあそぶことが何度かあってから、2週間ぐらいすると保育室で安心して過ごせるようになった。(人間関係・環境)
【4歳児】手洗い習慣が身につく
食事の前に手を洗うのを嫌がっていた。手にバイ菌がついたまま食事をすると、バイ菌がお腹なかの中に入ってしまうと伝えたら、慌てて石けんで手を洗い「もう、バイ菌いない?」と手を見せてきた。虫眼鏡でのぞいて一緒に「いないね」と確認すると安心したようで、次からは石けんを使って、熱心に手を洗うようになった。(健康・環境)
【3歳児】身の回りのことが自分でできるように
家庭であまりしていないのか、身の回りのことを自分からやろうとせず、服を脱ぐにも、保育者が脱がせるのをじっと待っている。「自分でできるとかっこいいよ」と声をかけ、Tシャツの下を持つとクルンと脱げることを伝えて手助けした。すると、ひとりで脱げたことが嬉しく、自分でできたという自信をもてた。(健康・環境)
【5歳児】係活動に意欲をもって取り組む
お弁当の時間にお茶を配る係になった際、コップを配ってからお茶を注つぎに回る方法と、お茶の入ったコップをお盆で配るのと、どちらが早く配れるのかを試すなど、工夫しながら積極的に取り組んだ。普段の活動にも、自分なりのやり方を試そうとする姿勢が見られる。(環境・表現)
【5歳児】時計を見て見通しがもてるように
以前は、「片づけですよ」と言われてもあそびを続けていた。「長い針が3で片づけ」と手で示して話したところ、時計を見て残りの時間がわかるようになったようで、区切りのよいところで片づけを始めている。また、まわりの友だちにも声をかけ、力を合わせて次の活動に間に合うように熱心に取り組んでいる。(健康・人間関係・環境)
お話/横山 洋子先生
千葉経済大学短期大学部こども学科教授。国立大附属幼稚園、公立小学校勤務などを経て、2011年より現職。専門はことば表現、幼児理解など。『子どもの育ちを伝える幼稚園幼児指導要録の書き方&文例集』(ナツメ社)他、著書多数。
イラスト/小沢ヨマ 取材・文/仲尾匡代