子どものウソとの付き合い方
子どものウソのタイプと対処法【2】
ウソにもいろいろな種類があります。子どものウソがどのタイプか考え、それぞれに合わせて対処しましょう。
D 褒められたいタイプ(上図)
保育者や友達から褒められたい、目だちたいためについてしまうウソです。「給食当番ではないのに、給食を率先してみんなに配ってしまった」など、友達の役割をとってしまうことがあります。「今日、当番じゃないでしょ?」と指摘すると「ぼくが当番だと思ってた〜!」と調子よく返します。
本当にいいことなのか、自分本位でないか一緒に考えよう
一見いい行いのようですが、友達の役割をとってしまうのはよくありません。保育者は総合的に考えて、いい行いかどうかを冷静に判断しましょう。「ありがとう」と成果は認めながらも、「〇〇ちゃんもやりたかったんじゃないかな?」「〇〇くんは嫌がっていなかった?」と問いかけて一緒に考えることが大切。そのうえで、「次は友達に聞いてからやろうね」と解決策を伝えましょう。
E 叱られたくないタイプ
自分がスープをこぼしてしまったとばれて叱られるのが嫌で、「ぼくじゃない」「知らない」などとごまかすタイプです。5歳くらいになると「スープをこぼしたところを保育者が見ていなければ、誰がやったかわからない」ということも理解しながらウソをつくようになります。
すぐに問い詰めるのはNG 時間をおいて尋ねてみよう
すぐに「ウソついたでしょ!」「なんでウソつくの?」と強く問い詰めてしまうと、さらにウソを重ねてしまう原因になります。少し時間をおいて、ウソをついた子どもが、不自然な動きをするのを待ってみてください。そわそわ落ち着かないのはウソをついたことで罪悪感を感じている合図。そのときに「さっきのこと、もう一回聞いていい?」と問いかけてみるとよいでしょう。
F かまってほしいタイプ
保育者や友達にかまってほしくて「できない」「体が痛い」と主張することがあります。また、「〇〇ちゃんにたたかれた!」などと友達を巻き込んでしまうことも多いタイプです。同様のウソが続く場合は心が不安定だったり、不満がたまっていたりする場合があるので、注意するようにしましょう。
続く場合は要チェック 保護者と協力する必要も
甘えたい気持ちの表れなので、保育者がふたりで話すなど丁寧に対応すると欲求は一時的に満たされます。しかし、園内でひとりの子だけに保育者が長く対応するのは限度があります。続く場合は、保護者と話し合うことが大切です。保護者と子どもの間でスキンシップが足りていないようなら、短い時間でもしっかりと向き合って過ごしてもらうように伝えましょう。
監修/植松紀子先生
臨床心理士。日本大学講師。神奈川県内の児童相談所や「こどもの城」小児保健部での勤務を経て、現在はアドバイザーとしてさまざまな保育園や幼稚園を回り指導を行う。
取材・文/香山倫子、服部啓一(KWC) イラスト/鹿渡いづみ