スマホやタブレットとどう付き合う?
電子メディアの映像と絵本や紙芝居はどう違うの?
テレビやタブレットなどで映像を見せるのと、絵本や紙芝居などの読み聞かせとでは、子どもにとってどんな点が違うのでしょう?
脳の働く部位が異なり発達にも大きな影響が
絵本などの読み聞かせの際、子どもたちは絵本を眺めるだけでなく、読み手の声色や表情から多くを感じ取り、想像力を働かせます。活字を見ているときと電子画面を見ているときの脳の活動を調べたところ、活字を見るときは、思考や感情を司る前頭前野が活発に働いていました。この前頭前野は、人との関わりで活性化する部位。絵本の読み聞かせでも、活発に活動しているといえるでしょう。
一方、電子画面を見るときは、視覚を司る後頭葉が活発に働いていました。電子メディアでゲームをしているときも、前頭前野はほとんど働かないことがわかっています。人が人であるために重要な役割を果たす前頭前野を、乳幼児期に活性化させることは、脳の発達にとても重要であり、電子メディアで映像を見るより絵本の読み聞かせのほうが、高い効果をもたらすことは一目瞭然です。電子メディアで映像を見せる際は、前頭前野も働くよう、大人が声をかけてコミュニケーションをとりながら見るとよいでしょう。
電子メディアの映像は、“一緒に見る”を鉄則に
テレビやパソコン、タブレットなどで子どもに映像を見せる際は、大人も一緒に見ることが重要だと保護者に伝えましょう。「ぞうさんって大きいね」など、映像を見た子どもの反応にあわせて声かけし、コミュニケーションをとることが、子どもの心やことばの成長を後押しすることを説明します。
監修/今井和子先生
二十数年間、世田谷と川崎の公立保育園で保育士として勤務。その後、お茶の水女子大学などの非常勤講師を経て東京成徳大学、立教女学院短期大学教授を務める。現在「子どもとことば研究会」代表。全国の保育者研修会で、講演などを行っている。
お話/諏訪清隆先生
北海道・旭川赤十字病院小児科第一小児科部長。日本小児科医会「子どもとメディア委員会」委員。2010 年「子どもとメディア北海道」を設立し、電子メディアがもたらす子どもの発達へのリスクについて啓蒙活動を行う。
イラスト/にわゆり 取材・文/仲尾匡代