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だから楽しい乳児保育

乳児保育ならではの魅力とは?

乳児保育ならではの魅力とは?

乳児保育に関わる際、どんなところに喜びや楽しみ、やりがいを感じるのか、今井先生にその魅力を語っていただきました。乳児保育の喜びや楽しみを再認識し、来年度へのはげみにしましょう。

1. ことばを介さない心の交流の喜び
人は誰しも、自分以外の誰かと、心を通い合わせたいという願いを持っています。人と繋がりたい、響き合いたい、こういった願いを、乳児は顕著に示します。生まれてすぐのあかちゃんも、人の顔をじっと見つめ、2か月もすれば目を合わせてにっこりと微笑むように。ことばを介さずに人と心が通い合わせることができたときの喜び。これは、普段の生活ではなかなか味わえませんが、乳児保育では毎日のように感じることができます。本来、人は魂と魂で繋がり合えるのだということを、子どもたちが教えてくれるのです。

2. 「人間らしさって?」に、ふれる楽しみ
乳児は、生まれた瞬間から、自分が体験するひとつひとつを吸収し、成長していきたいという気持ちを、全身で表しています。興味のあるものに手を伸ばし、うれしければ笑い、思いが伝わらなければ泣く。怒りの気持ちを体いっぱいで表す。目新しいものに興味を持ち、積極的に関わろうとする。3歳未満の子どもたちは、人間が本来持つ力を、大いに発揮しています。その姿を見ていると、人間らしさというものを、肌で感じ取ることができるのです。

3. 著しい成長ぶりに出会える感動
乳児の日々の成長には、めざましいものがあり、昨日できなかったことが今日はできるようになるということもしょっちゅうです。運動機能の発達はわかりやすいものですが、自己主張したり、我慢したり、心の発達にも初めてのことがいっぱいです。そんな発達を目の当たりにして感動できる場面が、乳児保育には日常的に見られます。保護者とともに、子どものこうした成長を喜べることも、乳児保育の醍醐味といえるでしょう。

4. 感性の豊かな乳児から学ぶ
感性の豊かな乳児から学ぶ生まれて間もない赤ちゃんでも、人の心の動きがわかるといわれています。表情や態度、醸し出す雰囲気を、敏感に感じ取る能力は、まさに感性の素晴らしさです。それは、人と心を通わせて繋がりたいという欲求があればこそ。だからこそ、保護者や保育者の機嫌の良し悪しがわかるのです。

相手のことを知ろうとすれば、相手の気持ちにも敏感になれます。子どもたちの様子から「あっ、自分は今、イライラしているんだな」など、保育者が自分自身の気持ちに気づくことも少なくありません。

5. 心も体も委ねられる幸せ
乳児期は、保護者や保育者といった特定の大人と、愛着関係を築く大切な時期です。一人ひとりに合わせた丁寧な養護や、発達に合わせた保育を重ねることで、子どもは自分を大切にしてくれる誰かに心と体を委ね、全信頼を寄せます。そして、その信頼感を、表情や態度、喃語などを使って、全身で表現します。子どもの心が自分を強く求めていること、無条件に信頼されていることが感じられるのは、計り知れない喜びとなります。

監修 今井和子先生
二十数年間、世田谷と川崎の公立保育園で保育士として勤務。その後、お茶の水女子大学などの非常勤講師を経て東京成徳大学、立教女学院短期大学教授を務める。現在「子どもとことば研究会」代表。全国の保育者研修会で、講演などを行っている。

イラスト/かまたいくよ 取材・文/仲尾匡代

 

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PriPri プリプリ 2018年3月号

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72,73ページに掲載

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