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支援のアイデア

友だちも 保育者も
環境の一部①

生活の流れが身につきにくい、クラスに馴染めない。そんな子にも、安心して乗れる〝流れ〟をつくってあげたい。そんな思いを実現する鍵は、保育の基本のなかに隠れていました。
カスタマイズした流れの定着を足がかりに
発達に課題のある子は、活動の流れが定着しにくいため、いつまでたっても園生活に慣れない、クラスの子どもたちと同じ活動ができるようにならない、といったケースがよくあります。そのような子には、無理にクラスの流れに入れて、まわりの子と同じ活動をさせようとするのではなく、クラスの流れを、その子にとってわかりやすい流れ、乗りやすい流れにカスタマイズして用意することが必要です。
カスタマイズした流れは、クラスのそれとは違っても、その子が乗れる専用の流れをつくり、まずは安心して園生活を過ごせるようにするためのものです。カスタマイズした流れに沿って、保育者が「ここにバッグを置いて、荷物を出すよ」「出したら、出席ノートにシールを貼ってね」「それが終わったら次はコップを出して……」などと声をかけながら活動をくり返すことで、その子のなかに流れを定着させていきます。とはいえ、園は集団生活を通じて、個の育ちを目指す場。カスタマイズした流れがある程度定着したら、次のステップは、クラスの子の流れに合流することを目指します。
クラスの子の流れもしっかりつくる
ところで、発達に課題のある子が、クラスの流れにうまく合流できるようにするには、本人への個別の手だてとしてカスタマイズした流れを用意するだけでなく、合流先となるクラスの子の流れをしっかりつくっておくことが大切です。クラスの流れができていないところに連れていき、「さぁ、クラスの流れに乗って、みんなと同じように活動しましょう」と言っても、入れる安定した流れがなければ、入りようがありません。逆に、クラスに流れができていて、みんながそれに乗って活動していれば、発達に課題のある子の目にも、「みんなはこれをしたら、次にあれをしている」ということがはっきり映ります。まわりの子が何をしているのか、どんな流れで動いているのかがわかるので、自分も動きやすくなるのです。活動の流れ、生活の流れなど、〝流れ〟をつくることは、発達に課題のあるなしにかかわらず、すべての子の保育を行ううえでの基本です。発達に課題のある子も安心して過ごせるように、まわりの子にも生活の流れが根づくクラス運営を行うことが大切です。
教えてくれた人/岡山大学学術研究院 教育学域教授 佐藤 曉
イラスト/モリ ナオミ
取材・文/森 麻子
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PriPriパレット 2022年4・5月号

PriPriパレット 2022年4・5月号

20・21ページに掲載

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