My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

どうすればよかった?
保護者対応②

発達に特性のある子の支援において、保護者と協力し合うことはとても大切ですが、うまくコミュニケーションがとれないときはどうすればよいのでしょうか。巡回指導や研修で発達支援のアドバイスを行っている牧野和江先生に、保育現場で実際にあった話を基に解説していただきました。
子どもにベストな支援方法は
保護者とのよい関係から見つかる
保護者と保育者は同じ目標を持つチーム
子どもの育ちにおいて、保育者と保護者の願いは同じです。それは、「その子がその子らしく生きる力を身につける」ということです。
お互いに情報を共有して、「その子はどんな子なのか?」という理解を深めると、その子に合った支援方法が見つかりやすくなります。保育者は、保護者との日々のやりとりの中でわかる、家庭での子どもの様子、養育環境、教育方針などから考察してみましょう。保護者も、集団の中での子どもの様子を知れば、我が子をより理解することができるでしょう。
子どもの支援のために、保育者と保護者はひとつのチームを組むような関係になれるとよいですね。
発達に特性のある子を診断名で理解しないで
気をつけたいのは、保育者が「自閉スペクトラム症かも?」などと自己判断をしないことです。保護者が「うちの子はADHDだと思いますか?」と聞いてきたとしても、「そうかもしれません」とは言わないでください。保育者は医師ではないので、診断はできません。
また、診断名によって子どもを理解しようとすると、色眼鏡で見てしまい、気になる行動を「こだわり」などというひとことで済ませてしまいがちです。それでは、その子にとってベストな支援方法を見つけにくくなります。
もし医療機関で診断名がついたとしても、療育につながればよい訳ではありません。保育者は、支援をする子どもがクラスの一員として、同年代の子どもたちと一緒に育つことを大切にして、かかわってほしいと思います。
子どもの行動の背景を一緒に探ろう
気になる行動があったとき、「どうしてこの子は、こういう行動をしたのかな?」と背景を探ってみましょう。
まず、「私がかけたことばが刺激になったのかな?」などと、自分の保育をしっかり振り返って、記録をつけます。そして、保護者、養育環境など、その子のバックボーンを含めて考察します。保護者と一緒に考察してみてもよいですね。そうすると、その子に合った支援方法が見えてきます。
「よいことエピソード」を記録することもおすすめです。その子のよいところ、うまく支援ができたことを記録すると、保育者もポジティブな気持ちがわきあがりますし、保護者と共有することで、保護者もその子をほめることが増え、好循環につながります。
教えてくれた人/牧野和江
イラスト/山村真代
取材・文/古屋あさみ
お知らせカテゴリー

この記事が詳しく
掲載されているのは

PriPriパレット 2023年4・5月号

PriPriパレット 2023年4・5月号

52ページに掲載

詳細はこちら

関連キーワード