「すぐに手が出てしまう子」への対応①
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集団生活、とりわけ自由あそびの時間に見られやすい「すぐに手が出てしまう」子どもの姿。同じように見えても、特性や背景はさまざまです。この連載では、園での事例を取り上げ、支援のあり方を学びます。 | |
手が出やすいのは自由な活動の場面 すぐに友だちに手が出てしまう子どもがいます。保育者としては、「お互いにけがをしないだろうか?」「乱暴な子と思われてクラスのなかで孤立しないだろうか?」などと、心配になることも多いでしょう。トラブルを止められず、対応に悩むケースもあるのではないでしょうか。 すぐに手が出る背景はさまざま。発達がゆっくりな子どもは、ことばよりも先に手や足が動いてしまうことがあります。また、そのつもりはなくても力加減が苦手で叩いたようになってしまう子、衝動性の強さから手が出てしまう子も。 手が出てしまう子どもの姿は、自由あそびの時間に多く見られます。各々が好きなように過ごすのでトラブルが起きやすい上、何をするかが明確でないため、見通しがもちにくい子や感情のコントロールが苦手な子は、不安でイライラしやすいことがその理由です。 |
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過ごし方やルールが見える環境を用意して 保育者の対応としてよくあるのは、子どもの近くで見守り、手が出そうなときに止めたり、すぐに間に入ったりすることです。しかしそれだけでは、一時的にはよくても、また同じことがくり返されてしまいます。 子どもの行動自体に働きかけるには、子どもが手を出す原因となる「混乱」「衝動」「イライラ」が起こりにくい環境を工夫すること。みんなが安心して過ごせる環境を検討しましょう。 発達の特性がある子どものなかには、視覚が優位、見通しをもちにくい、気持ちの切り替えや感情のコントロールが苦手といった傾向のある子がいます。それらを踏まえ、必要な情報を確認しやすく掲示する、逆にそのほかの掲示物をすっきりと整理する、大まかにあそびのコーナーを分けるなどの対策が考えられます。情報を整理し、「見える化」して、トラブルが起こりにくくなるように環境を整えます。このように、情報の取り入れ方に着目した支援方法を「構造化」といいます。 |
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「構造化」で「見える! わかる! 自分でできる!」環境に 安心・安全で、誰にとってもわかりやすく過ごしやすいクラス環境をつくっていきましょう。 |
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公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美 イラスト/ナカムラチヒロ 取材・文/こんぺいとぷらねっと |