「待つことが難しい子」への対応②
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動きが激しく、じっとしていられないBさん 衝動的に走り回って、並んで待つことができない4歳のBさん。保育者に制止されるといやがって、思わず手や足が出てしまうときもあります。 |
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待つことに対するストレスを減らす 気になる対象があると、衝動が抑えられずに走り出してしまう子がいます。動きを制止されると思わず手や足が出ることがあるため、乱暴な子と誤解される場合も。 動きたい欲求が強い子には、感覚刺激を得られるグッズを提案するなど、その場にとどまりやすくなる工夫を考えましょう。たとえばお尻の下にクッションを敷いたり、足裏に刺激を入れられるマットを置くなど。落ち着かないときには、一時的にみんなと離れて過ごし、クールダウンできるスペースをつくっておきましょう。 |
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園での支援実例
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人工芝で心地よい刺激を足裏に Bさんは、心地よい刺激を感じると気持ちが落ち着きます。そこで、いつも座るいすの足元に人工芝を敷いたところ、足裏のザラザラを楽しみながら、いすに座って話が聞ける時間が増えました。 ![]() |
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聴覚が敏感で、ざわざわした場所で待つことが苦手なCさん 聴覚過敏があり、ざわざわした環境が苦手な5歳のCさん。行事などで大人数が集まっていると、耳をふさいで座り込んでしまったり、ホールや保育室から出て行ってしまうこともあります。 |
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苦手な感覚から「まず離れる」工夫を 感覚過敏の子にとって、苦手な刺激は恐怖や不安など苦痛そのもの。耐えて頑張らせることは、逆効果につながりかねません。苦手な感覚からまずは離れて、安心して活動に参加する方法を探すことが大切。たとえば、友だちに触れられるのが苦手な子は距離を保てる位置で参加できるようにする、聴覚過敏の子はいつでもイヤーマフを活用できるようにするなど。 ことばで説明できない子もいるので、日頃から何が苦手なのか、どうしたら安心できるかを観察する姿勢が大切です。 |
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園での支援実例
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参加する方法を相談する 活動の予定や流れを視覚化して示すようにし、参加できる方法や部分をCさんと相談しながら決めています。「保育者と一緒だったらできる」「手伝ってもらったら参加できる」「遠くからなら参加できる」など、本人の意思を尊重するようにしました。本人が安心して参加できる環境のなかで待つ経験を大切にしています。 ![]() |
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常に保育者についてまわり、「待っていてね」が難しいDさん 不安が強く、保育者が少しでも離れると落ち着かない3歳のDさん。保育者がほかの子に関わるために、「ちょっと待っていてね」と言うと、泣き叫ぶこともあります。 |
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子どもに振り回されず、いつも同じ対応を心がけて 不安が強く気持ちが安定しにくい子どもの場合、その日の状態によって、待てたり待てなかったりします。昨日は待てた活動でも、今日は激しく泣いたりすることも珍しくないので、保育者が対応に迷うケースもあるでしょう。子どもによっては、保育者の反応を試したり、大人の関心を惹きつけようとしたりして、わざと激しい行動をとることもあります。 保育者は子どもの状態に左右されないようにし、いつも同じように接するよう心がけましょう。 |
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園での支援実例
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安心できるモノや場所をキープ Dさんが好きなぬいぐるみやおもちゃなどを用意して、気持ちを切り替えるツールとして活用することにしました。また、ひとりで落ち着いて過ごせるスペースも確保。保護者からもDさんの好きなものの情報や家庭での過ごし方を聞き、意識的に連携を図っています。 ![]() |
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公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美 イラスト/ナカムラチヒロ 取材・文/こんぺいとぷらねっと |