ABAに基づくことばかけ How to
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I 応用行動分析 I ABA<HOW TO 編> |
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行動を観察&整理する 行動の前後の状況に注目!〝3つの箱〟で考える ABAを用いた支援は、「行動と前後の状況から得た情報から、よりよい関わり方を考える」というプロセスで行います。このプロセスではまず、下図のように、増やしたい、または減らしたい行動を「A先行事象(行動の前の状況)」「B行動」「C結果(行動の後の状況)」という3つの箱に分けることから始めます。例えば「友だちをたたく」という行動なら、「友だちをたたく」は行動そのものなのでBの箱、「友だちがおもちゃを使っていた」など、たたくきっかけになった状況をAの箱、たたくことで「おもちゃを得て、あそべた」という状況をCの箱に入れて、行動を整理します。 整理する際は、行動だけでなくその前後の状況も重要な情報になります。そのため、子どもによくない行動があるときは、日頃から意識して子どもの様子を観察し、気になる行動が起きたときは、その前後の状況も含めて記録しておくことが大切です。
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「なぜ起きるのか?」行動の理由を探る 行動には必ず、「なぜその行動をするのか」という意味や目的があります。例えば、食事中に食べ物を投げる子がいた場合、大人は「なぜそんなことを……」と不思議に感じますが、子どもには「投げると大人が駆け寄ってくるから楽しい」「食べたくないから投げている」など、その子なりの理由があって投げています。この理由を理解せずに、ただ「やめなさい」と言うだけでは、投げる行為はなくなりません。しかし、行動の理由がわかれば、〝その行動をする必要がなくなる環境〟をつくれるので、子どものよくない行動を減らすことができます。 行動の理由を探るには、行動が起きる前後の状況に目を向けることが欠かせません。ステップ1で整理した3つの箱で、行動の一連の流れを捉えると、その背景にある理由が見えてきます。行動の理由は何通りも考えられるので、前後の状況やふだんの子どもの行動パターンなども加味しながら、その理由を推察することが必要です。 |
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行動の理由は、Aだけでなく、前後のAとCにも着目することが大切!
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理由がわかると対応策も見えてくる 行動の理由がわかると、よくない行動をよい行動に置き換えるための具体的な対応策が見えてきます。対応策を考える際は、行動の理由に即した介入が必要ですが、そのときヒントになるのが、行動が持つ4つの機能です。 行動の理由は、「要求(何かが欲しくて起こす行動)」「回避(何かから逃れたくて起こす行動)」「注目(自分を見てほしくて起こす行動)」「感覚(その感覚が楽しくて起こす行動)」という4つの機能に分類されます。その行動が持つ機能がどれかを推察することで、対応の方向性が見えてきます。ひとつの行動が複数の機能を持つケースもあるので、行動の前後の状況を丁寧に見ていくことが大切です。 |
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教えてくれた人/ NPO法人ADDS共同代表 竹内弓乃 イラスト/山本ケイタ 取材協力/石澤方理(逗子市教育委員会 教育研究相談センター)、 双葉保育園(神奈川県) 取材・文/森 麻子 |

