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支援のアイデア

「怒りっぽい子」への対応①

ちょっとしたことで興奮して、友だちに手が出てしまったり、激しく泣いたりする子どもがいます。保育者がなだめても、気持ちを切り替えられない場合も。どのように対応したらよいのか、実例をもとに考えます。
怒りっぽさは、感情コントロールの発達と関係している
感情をコントロールする力は自己主張する力よりもゆっくりと育つため、乳幼児期は特性の有無にかかわらず、自己主張のほうが目立つ傾向があります。自分の感情をことばで表せるようになってくると徐々に怒りの感情を抑制できるようになりますが、発達に凸凹がある子どものなかには、それが難しい子もいます。
発達心理学では、感情のコントロールを「脳や心の発達に応じて育つスキル」と捉えます。周囲の大人が環境を整え、関わり方を工夫することで、このスキルの獲得を後押しできます。具体的には、①子どもの感情を理解する、②感情をことばで表す(ラベリング)、③安心できる環境の用意、④適切な表現行動を促すといった、4つの視点からの支援です。大人と安心してやりとりできる経験が増えると、自分で自分の気持ちを落ち着かせたり、相手の気持ちを想像できるようになっていきます。

感情コントロールの一般的な発達

感情のコントロールは脳や心の発達段階に応じて育つスキルです。発達に特性のある子どもは、年齢の目安が示す発達段階に必ずしも合致せず、発達の道筋も凸凹。その子の特性に合わせて、大人が環境と関わり方を工夫することで、発達を後押しすることができます。
1~2歳頃
●衝動的な感情表現が中心で、泣く叫ぶなど、体で表す。
●自分で気持ちを切り替えることはまだ難しい。
★自分の気持ちを大人に言語化してもらう、受けとめてもらう経験を積む。
3~4歳頃
●気持ちを短いことばで表すようになり、嫌なことは「やめて」と言える。
●友だちとの関わりで衝突が増えるが、「待つ」「順番」などの簡単なルールは理解できる。
★ 気持ちカードなどを使って感情を視覚化する。
5~6歳頃
●社会的ルールを意識し、場面に応じた気持ちの表現ができる。
●相手の気持ちを想像できるようになり、共感的な行動が増える。
★気持ちが崩れた際には、大人のサポートを受けて、「落ち着く」「折り合い」をつける練習をする。
学齢期
●自分の感情を言語化し、「なぜ怒ったのか」などを振り返ることができる。
●他者視点の理解が深まり、場に応じた気持ちの表現が増える。
●怒りや不安な気持ちを切り替える方法を自分から活用できる。
大人が感情の扱い方を示し、安心できる環境を用意する
感情コントロールの育ちを支えるために大切なのは、子どもの気持ちを受け止めることです。ことばで伝えられない子どもには、「くやしかったね」と大人が気持ちを代弁して、しっかり認めます。そうすることで、子どもは大人に対して安心感や信頼感をもつようになります。そのうえで、感情を爆発させる以外の方法を示して、使えるように促していけるとよいでしょう。
また、怒りは不安な状況で増幅しやすいので、安心できる環境をつくることも大切です。活動に見通しがもてるような事前告知やクールダウンできるスペースを用意して、刺激を軽減させましょう。また、怒らずに自分の感情を伝えたり、我慢できたりしたときは、すぐに肯定的にフィードバックすることで、望ましい行動が強化されていきます。
「怒りっぽい子」の背景
●感情や言語の発達がゆっくり
●失敗に対する耐性が低い
●見通しのもちにくさと不安感がある
●衝動性が高い
●身体的要因(睡眠不足・便秘など)がある
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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