My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

ひといちばい敏感な子HSC②

HSCと発達障害は異なる
HSCと発達障害は併存する場合もありますが、概念が異なります。HSC特有の感情や感覚への反応に気づいたら、我慢をさせず、適した接し方を心がけましょう。

HSCは感覚特性、
発達障害は行動特性で定義される

 HSCと発達障害は、刺激への反応が似ているため混同されやすいですが、定義は異なります。HSCは感情や感覚の特性であるのに対し、発達障害は脳の神経機能に関わる先天的な特性とされています。また同じ場面に遭遇したときの反応にも違いがあります。たとえば、友だちの喧嘩の場面を見たとき、HSCの子は体が固まったり、泣きだしたり、保育者のそばに近寄って安心を求めたりします。一方、自閉スペクトラム症(ASD)の子は、喧嘩の騒々しさや想定外の状況に混乱し、パニックになったり、耳をふさいだり、怒りだしたりするでしょう。感覚過敏という点ではHSCと共通しますが、ASDは変化への抵抗や状況を理解する難しさが、反応の中心にあります。注意欠如・多動症(ADHD)の子は、喧嘩の場面でも刺激に反応して、「何があったの?」と近づいたり大きな声を出したりするなど、衝動的な行動が特徴です。なお、HSCと発達障害が併存するケースも少なくはなく、HSCを理由に受診してASDやADHDなどの診断を受ける場合もあります。
HSCと気づかれにくい
刺激を求めるHSC

HSCは内気で内向的な性格の子どもが多いですが、約3割は外向型と呼ばれ、敏感さと強い好奇心を同時にもっています。見た目には元気で活発ですが、刺激を受けすぎると疲れてぐったりしたり、急に不機嫌になったりすることがあります。たとえば、新しいおもちゃに真っ先に飛びつく一方で、友だちのちょっとしたことばや表情に傷つくなど、「活発で積極的だけど敏感」という二面性が特徴です。静かに過ごせる時間や落ち着ける場所を設け、挑戦と安息のバランスをとることが大切です。「やってみたいけれど怖い」という葛藤の気持ちを受けとめ、両極端な感情を否定せずに、「楽しかったけど疲れちゃったね」などと声をかけて理解を示すことが、外向型HSCの子に無理をさせすぎないポイントです。
敏感な子を支える支援
ひといちばい敏感な子どもの支援で大切なのは子どもが安心できる居場所や人を確保することです。安心・安全な環境をつくり、恐怖をとりのぞきましょう。
「安心」と「肯定」を土台に、「見守る」支援を
 HSCへの支援で最も大切なのは、「自分はここにいて大丈夫」「このままでいい」と感じられる安心感を与えることです。繊細さや敏感さを特性として肯定的に受けとめる姿勢が、心の安定を支えます。支援の基本は「待つ」「見守る」「尊重」「受け入れる」。ほかの子と比較したり、必要以上に褒めたりすると、意図を敏感に察知するため、子どものペースを尊重し、干渉しすぎず見守ることから始めましょう。また、無理に行動させようとせず、今の姿を受け入れて待つことを心がけます。受け入れてもらうことで安心感を得ると、自分なりに納得して前へ進めるでしょう。感情が昂ったときには、「怖かったんだね」などと気持ちを代弁し、本音に寄り添う対応も安心感を高めます。ネガティブな感情から抜け出せないときは、前向きな気持ちになれるようなことばかけもよいでしょう。また、神経が昂り疲れやすい子は早めに休息させ、心身の負担を溜めない配慮を。こうした関わりの積み重ねが信頼関係を築き、心理的な安心・安全が保たれることで、落ち着いて生活できるようになります。
Point1 ことばかけで安心感を
HSCの子が安心するためには、温かいことばかけが何よりも効果的です。恐怖を感じているときは、「怖かったね」と共感して気持ちを受けとめ、「だいじょうぶよ」と恐怖を和らげます。そして「がんばっているね」と努力を認め、「すごい」「ありがとう」と肯定しながら自信を育みます。さらに、その子が望む本音は「それでいいんだよ」と受け入れましょう。あそびや活動の場面で意識的にこれらのことばをかけることで、HSCの子は安心感を得て、自分の敏感さを弱みではなく強みとして受け入れられるようになります。また、背中をやさしくさする、包み込むように抱きしめるなど、肌感覚でも安心感を与えましょう。
[安心感を与えることばかけ]
共 感 「つらいんだね、怖かったね」
愛 着 「そのままでいいよ」
慰 労 「よくがんばったね」
感 謝 「ありがとう」
同 意 「そうなんだね」
安 心 「だいじょうぶだよ」
尊 敬 「すごいね!」
許 可 「それでいいんだよ」
Point2 本音を引き出す
HSCの子は周囲に気を使いがちで、なかなか本当の気持ちを言えないことがあります。そのため、保育者が段階的な問いかけを通して、丁寧に本音へと導いてあげましょう。まずは感じていることや思っていること、その理由や背景を確認し、次に「どうしたいか」を具体的に整理して、最後に本音を受けとめます。1対1でゆったりと関わりながら、この手順で話を聞くことで、HSCの子は少しずつ本当の気持ちを言えるようになります。
[本音を引き出す段階的問いかけ]
最初の思いの確認 「なぜ(どうして)?」
⬇︎
現在の思いの確認 「いま、どんな気持ち?」
要望を聞く 「いま、どうしてもらいたい?」
⬇︎
将来の要望を聞く 「これからどうしたい?」
⬇︎
思いを明確化する 「具体的にはどうする?」
⬇︎
ほかの考えを引き出す 「ほかにはどうかな?」
⬇︎
同意する 「わかったよ」
教えてくれた人/
長沼睦雄
イラスト/ネコポンギポンギ
取材・文/山口 有子
お知らせカテゴリー