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支援のアイデア

偏食に悩む保護者を支える②

発達に特性のある子どもの保護者とのやりとりは、思いに寄り添った接し方が大切です。様々なケースを取り上げて、よい関係を築く対応をご紹介します。
発達障害の特性が原因で食べるものに偏りがある子がいます。そんな子どもの食事に悩む保護者の気持ちを理解し、支えるための対応を考えます。
ケーススタディ
なんとか食べてもらいたい
あの手この手で
食事の工夫に奮闘する保護者

苦手な食材を細かく刻んでわからないように混ぜるなどして、なんとか様々なメニューを食べてもらおうと頑張っている保護者がいます。話を聞くと、子どもに食べることをしつこく促している様子。熱心すぎる保護者にどう対応したらよいでしょうか。
こう対応!
保護者の努力を労いながら
偏食の原因を一緒に推測する

苦手な食材をわからないように料理に混ぜ込むと、子どもによっては騙されたと怒り、料理を疑うようになるケースもあります。食べることを促す際は、食事が苦痛にならないよう働きかける姿勢が大事です。保育者は保護者の偏食を改善したい思いを受け止めながら、園と家庭で食事の様子を共有し、食感や味など子どもが食べられない理由を一緒に推測しようと伝えましょう。安心して食べられる環境も大切なので、保護者自身が焦らないようにとも伝えます。
「食べさえすれば」と諦めている
子どもが食べるものしか、食卓に出さない保護者
いろいろな料理を用意しても食べてもらえないことから、子どもにはいつも決まったメニューしか食卓に出していない保護者。食べながら歩き回るなど、食事のマナーが悪くても、食べればいいという考えのようで気になっています。
こう対応!
食べるだけではない、食にまつわる楽しい経験も大切に
子どもが食べられないものを無理強いするよりは、今食べられるものを楽しく食べることは大切。ただし、食材との接点が少ないと食べられるものが増えにくいので、できれば食べなくても家族と同じメニューを食卓に並べ、香りや目で味わうのも大切だと保護者にアドバイスを。一緒に食卓の準備をするなど、子どもが食の楽しい体験を行うのも◎。また、混同しがちですが、偏食とマナーは別の問題です。マナーはルールを決めてわかりやすく示すよう伝えましょう。
<知っておきたい>
「スモールステップ」と「できたらほめる」のセットで取り組みましょう
これまで多くの偏食の子どもと、その保護者に接してきましたが、偏食の改善がうまくいかないケースのほとんどに共通しているのは、「子どもをほめていない」ことです。食べない以外にも、食べる量や姿勢など、気が付くといくつも注意している場合があり、そうすると子どもは食事の時間自体が嫌なものに。例えばごはんが食べられない子どもには、ごはん粒の1/4をスプーンに乗せ、スプーンを持ったらほめる、口をつけたらほめるといった具合に、ごく小さな一歩から始めて少しでもできたらほめます。そうすると子どもは嬉しくて、食べる意欲が湧き、食べる量や回数が増えていくはずです。この対応を家庭と園で共有しておきましょう。
<FROM 徳田先生>
偏食の改善は人生の豊かさにつながるという視点を持って
「食べる」行為は、私たちにとって栄養を摂取するだけのものではありません。ひな祭りや十五夜など食と結びついた行事や、ランチ会や旅行など食が楽しみにつながる場面がたくさんあります。食べる行為が様々な意味や役割を果たしている暮らしのなかで、偏食が改善していくことは、その子の人生において苦手な場面が減って暮らしやすくなったり、楽しみが増えたりすることにつながります。偏食を、今目の前の料理を食べることや、栄養面の問題だけで捉えるのではなくて、食べられるものが増えると生活が豊かになるという考えを持って対応にあたることが大切です。
教えてくれた人/
筑波大学名誉教授 徳田克己
東京科学大学 リベラルアーツ研究教育院教授 水野智美
イラスト/コウゼンアヤコ
取材・文/小栗亜希子
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