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支援のアイデア

保育中の「音」への配慮①

運動会や発表会など、秋は子どもたちが心待ちにしている行事が目白押し。ところが、聴覚過敏のある子どもにとっては、大音量のBGMやピストルの音、楽器の音などをツライと感じることがあるようです。そのような子どもがどうしたら心地よく過ごせるのか、保育の音環境について考えます。
音の聞こえ方や感じ方は、他人が理解しにくいうえに、子どもは自分の状況をうまく説明できません。子どもが環境に合わせるのではなく、環境を子どもに合わせる視点が必要です。環境づくりのポイントを確認しましょう。
不要な刺激を減らして安心できる環境を
音や匂い、触覚などに、特有の感覚過敏がある子どもがいます。雨粒が体に当たると痛いと感じたり、消しゴムが床に落ちた音を雷が落ちたように聞こえたりする子もいるほどです。刺激の程度は個々で異なりますが、不快な状態から逃れようとパニックを起こすこともあるので、生活の中にある原因は取り除けるようにしたいものです。
それにはまず、不要な刺激を減らすこと。音を嫌がる素振りを見せたら、すぐに音を消したり、子どもが音から逃げられる場所(例えば、ついたてなどを利用したクールダウンスペースやテントなど)を用意しましょう。
子どもからのサインを見逃さない
苦手な音が鳴った時に、「音を消して」などと子どもが意思表示できたら、苦痛の回避につなげられます。保育者がサインを受け止め、「音を消してほしいんだね」と応えることが大切です。「先生はツラさをわかってくれる」と信頼関係をつくれたら、子どもは次からも意志を伝えられるでしょう。ことばで伝えられるようにサポートすることは、いずれ社会に出てからも意思表示できるようにするために必要な、保育者の役割です。
また、保護者と話し合い、懇談会などでほかの保護者に説明する機会を設けるなど、保護者に寄り添うサポートも必要です。
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教えてくれた人/臨床発達心理士 公認心理師 中野圭子
イラスト/秋野純子
取材・文/こんぺいとぷらねっと

この記事が詳しく掲載されているのは
PriPriパレット 秋号
44・45ページに掲載
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