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支援のアイデア

冬に知りたい! 着替えの支援②

身につけるアイテムが多い冬。発達に課題のある子どものなかには、着替えが苦手な子もいるかもしれません。着替えが苦手な子に、どのような支援ができるのか、園での指導経験が豊富な作業療法士の中島そのみ先生にお話を伺いました。
原因のひとつは体がうまく使えないこと
着替えが苦手な原因は、大きく分けて次の3つが考えられます。
ひとつ目は、体がうまく使えないこと。体を使いこなすには、手足が体のどこに付いていて、どのように動かせばよいのかをまず意識する必要があります。身体イメージがもてないと手足などを使いこなせず、スムーズに着替えられません。また、目でものを見る力が弱かったり、力のコントロールが難しかったりする場合も。さらに、手と足など、体の異なる部位を連動させる動きが苦手なこともあります。このような要素に発達の偏りがあるために、体がうまく使えないことがあります。
体が極端にうまく使えない場合は、「発達性協調運動症(DCD)」の可能性があります。発達性協調運動症とは、異なる動作を連続させる運動に著しく困難を示し、全身運動や指先を使った細かな動作が極端に苦手という発達障害のひとつです。症状のあらわれ方に偏りがあるので障害と認識されにくく、「何度もくり返せば、できるようになる」と反復練習を強いられるようなこともあり、周囲から理解されずに困っている子が多く存在しています。
感覚過敏や強いこだわりも着替えが苦手な原因に
着替えが苦手な原因の2つ目は、感覚過敏によるものです。感覚過敏にはさまざまな症状がありますが、着替えの場合は触覚が極端に過敏で、衣服の肌触りや縫い目などの刺激に対して抵抗感をもつというケースが見られます。
3つ目は、特定の物事に対する強いこだわりによるものです。例えば、いつも同じ衣服を着たがったり、納得がいくまで着替え直したりするようなことがあります。
感覚過敏や強いこだわりに対して、慣らそうとして我慢させたり、無理に着替えさせたりするのはやめましょう。保護者と相談して同じ衣服を複数用意してもらったり、時間を区切って切り上げるタイミングを示したり、その子に合った対応を探る必要があります。
このように、着替えられない原因はさまざまです。また、ひとつだけでなく、複数の原因が影響している場合もあります。ですから、その子に合った支援ができるよう、子どもをじっくり観察して原因を探ることが大切です。また、着替えの場面に限定せず、あそびの様子やほかの生活場面での動きからも探ってみましょう。
教えてくれた人/中島そのみ
イラスト/北村 人
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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PriPriパレット 2021冬号

PriPriパレット 2021冬号

51ページに掲載

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