“困り方に困っている”子どもたち③
困っている状況で、手を差し伸べられても「大丈夫」と答えてしまう、そんな子はいませんか?生きていくうえで欠かせない「助けを求める力」。すべての子どもに身につけてほしい、この力を養うために保育者ができることを考えましょう。 | |
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援助要請スキルの土台を育む 助けを求めやすいクラスにするには 園で援助要請スキルの土台を育むときに心がけてほしいのは、「助けてもらうのは格好悪くない、特別ではない」と、子どもが思えるようにすることです。園で取り入れやすい3つのポイントを紹介します。 |
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1. 助けてもらうことを日常にする 荷物が重いときに「〇〇先生、手伝ってください!」とお願いするなど、日ごろから保育者同士が気持ちよく助け合う姿を子どもたちに見せましょう。また、困っている子どもにかかわるのは、担任の保育者の役目に限りません。ほかのクラスの保育者や園長、友だちなど、子どもがいろいろな人に助けてもらう経験をできるとよいでしょう。 ことばが未発達な子や恥ずかしさから「教えて!」などと言えない子がSOSを出せるように、上のようなヘルプカードを用意してもよいでしょう。 |
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2. 困りやすい場面を予測してことばをかける 保育者が「大丈夫?」「困っていたら言ってね!」と言っても、助けを求められない子は多いものです。しかし、困りやすい場面を予測して適切なことばをかけると、子どもから「手伝って!」と示しやすくなることもあります。 たとえば製作活動では、苦手な工程を予測したうえで、その子の様子をよく見ましょう。困っている様子が見られたら「先生もこれ苦手なんだ。一緒にやってみようか?」などとことばをかけると、子どもはうなずきなどで意思表示しやすくなります。 |
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3. お助けあそびを取り入れる あそびの中で「助けを求めてもよい」というルールをつくると、SOSを出すことに慣れてくる子もいます。 たとえばヘルプカードを取り入れたサーキットあそび。平均台やマットなど苦手なポイントでカードを示すと、得意な友だちや保育者が助けてくれるというルールを設けてもよいでしょう。楽しい雰囲気だと、子どもたちは抵抗なく助けを求められます。 |
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教えてくれた人/星槎大学大学院 教育実践研究科教授 阿部利彦 イラスト/しおたまこ 撮影/大見謝星斗(世界文化ホールディングス) 取材・文/麻生珠恵 |