My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

どう対応する?「かんしゃく」「メルトダウン」②

泣いたり乱暴したりといった興奮状態であるかんしゃく。メルトダウンは、かんしゃくと似た状態ですが、子どもの中で起こっていることは異なります。かんしゃくやメルトダウンに適切に対応するために、園でできることを考えましょう。
かんしゃく・メルトダウンへの理解と対応
かんしゃくやメルトダウンの基本的な対応についてお話ししてきましたが、保育現場では、教科書通りの対応だけではうまくいかないこともあります。そこで、臨床発達心理士でもある高橋雅江園長に、園で起こった実際のケースを例にお話を伺いました。具体的な対応や子どもの理解に必要な視点の学びを深めていきましょう。
使いたいおもちゃをほかの子が使っていてあそべなかったAくん
乗り物が大好きな3歳児クラスのAくん。園ではひとりでよく車のおもちゃであそんでいます。
ある日、数人の子がミニカーであそんでいると、Aくんが近くにやってきました。「貸して」や「入れて」が言えないAくんは、辺りをうろうろしていましたが、しばらくすると無言のままパッと車に手を伸ばしました。ひとりが「ダメ!」と叫んで車を奪い返すと、Aくんは「ワー!」と金切り声をあげてかんしゃくを起こし、その子に噛みついてしまいました。保育者が慌てて止めたものの、興奮状態が続き、自分の腕を噛む自傷行為も出てしまいました。
[ 対応のヒント ]普段から「貸して」を伝えられる練習を
他害や自傷が出ると、保育者も慌ててしまいますが、大声を出せばAくんはさらに興奮し、かんしゃくが長引くので、冷静な対応が肝心です。また、泣き叫ぶAくんに驚いておもちゃを譲ろうとする子もいますが、「泣いたら欲しい物が手に入った」という経験が重なると、かんしゃくを起こしやすくなるので注意が必要です。本人と周囲の子の安全を第一に見守り、落ち着いたら「あそびたかったんだね」と気持ちを受け止め、「貸してと言おうね」など、好ましい行動を伝えていきましょう。
教えてくれた人/
Neurodiversity at Work代表取締役 子ども・青少年育成支援協会 代表理事(共同代表)
村中直人
心羽えみの保育園石神井台 園長
高橋雅江
イラスト/やまもとあやこ
取材・文/森 麻子
お知らせカテゴリー

この記事が詳しく
掲載されているのは

PriPriパレット 2024年6・7月号

PriPriパレット 2024年6・7月号

13ページに掲載

詳細はこちら

関連キーワード