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支援のアイデア

「切り替えられない子」への対応①

園で見られる「気持ちが切り替えられない」子どもの姿。背景や特性に応じて現れる姿は異なり、必要な支援も異なります。この連載では、園での事例を取り上げ、支援のあり方を学びます。

気持ちの切り替えには、感情をコントロールする力が必要

生活の切り替え場面になると、何をしてよいかわからずに立ちつくしたり、反対に、むやみに走り回ったりする子どもがいます。かんしゃくを起こす子、自分の考えにこだわりすぎて友だちとトラブルになる子も。
活動の切り替えでは、あそび続けたい気持ちから、次に向かう気持ちへと、本能的に抱く感情を自分でコントロールする必要があります。発達に課題のある子の多くは、この感情のコントロールが苦手です。
特に、発達がゆっくりなタイプや、興味の幅が狭いタイプの子どもは、集団のペースや流れに合わせて行動することが難しく、自分の気持ちに折り合いをつけられず、「今のこと」を押し通そうとする場合があります。これは、本人もどうしてよいかがわからず、困っている状態でもあります。
気持ちの切り替えを促すには、その子が理解できるように言語の育ちや発達段階に応じた関わりが必要です。加えて保育者は、「ちゃんと見ているよ」「きみのいいところを知っているよ!」という肯定的なメッセージを、しっかりと伝えましょう。

「切り替えられない子」への対応でおさえておきたい発達の視点

子どもの発達段階を見極めて、関わり方を検討する必要があります。
2歳ごろ
●2語文が出始める
●生活のなかでの経験でわかることが増えてくるが、完全に理解しているわけではない
●概念的なことばの理解はまだ難しい
●「○○したい」「○○してほしい」という欲求が強まって、満たされないとかんしゃくを起こすことがある
3歳ごろ
●話しことばの基礎ができてくる
●因果関係を結びつけられるようになる
●「これ何?」「なんで?」といった質問が増える
●主体性が強くなり、大人が手伝うのを嫌がる
●経験から、次の行動の予測が立てられるようになる
4歳ごろ
●「あとでね」「待っていてね」がわかるようになる
●「○○してから△△してね」のような、条件文の理解ができるようになる
●「○○だけれど、△△する」といった自己調整が始まる
●「勝ちたい」「一番がいい」という思いが強まる
●「○○かもしれない」という見方ができるようになる
5・6歳ごろ
●「できる・できない」という二極化的判断から、時間(過去・現在・未来)、価値観(好き・普通・まあまあ・嫌い)などの要素を加えた複雑な世界が形成される
●自分の経験を文脈に沿って説明できるようになる
●共通の体験を通して仲間意識が育つ
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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PriPriパレット 2024年8・9月号

PriPriパレット 2024年8・9月号

34,35ページに掲載

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