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支援のアイデア

「外国ルーツ」の子の発達障害③

保護者が外国出身の子どもを指す「外国にルーツがある子」。気になる様子から発達障害の可能性を考えるべきか迷うことも。ことばや文化の違いをこえて、支援への橋渡しをする方法を考えます。
支援につなげる4つのステップ
発達障害のサインをキャッチしたら、言語や文化の違いに配慮しながら支援につなげましょう。保護者対応の基本を紹介します。

保護者との信頼関係づくりを第一に

外国出身の保護者は、日本での暮らしに不安や困難を感じている場合があります。とくに医療や福祉に関する情報は行き渡りづらい面があり、子どもの発達に悩んでいても、相談先がわからず、そのままにしてしまうことも。そのため園が専門機関につなぐ橋渡しをしていきましょう。
保護者対応は、日本人の保護者と基本的には同じです。まずは保護者との信頼関係づくりが第一です。STEP1を参考に、保護者を知ることから始めましょう。また子どもから園での話を聞いて、我が子が保育者を慕っているとわかると、保護者も次第に保育者に心を開くように。「何かあったときは先生に相談しよう」と思うようになっていくでしょう。
STEP 1
送迎時の会話から、保護者のことを知る
送迎時は保護者と会話をしたり、親子の会話を聞いたりして、母国の文化や習慣の違い、家庭状況などを少しずつ把握していきましょう。保護者とは「やさしい日本語」や翻訳アプリを使って会話をしましょう。
「やさしい日本語」とは
「やさしい日本語」とは外国人にもわかりやすい簡単な日本語のことです。ポイントを紹介します。
●情報は、必要な内容にしぼる
●一文は短くして、ゆっくり・はっきり話す
●難しいことばは、簡単なことばに言い換える
●曖昧な表現や二重否定は避ける
●擬態語や擬音語は避ける
●文末は、「です」「ます」「してください」で統一する
STEP 2
気になる行動を見かけたら、保護者にその場で確認する
子どもの気になる行動を保護者に伝えるときは、ことばだけでは伝わりづらいものです。そのため保護者の前でその行動が見られたら、その場で確認しましょう。目で見て確認したほうが保護者もピンときやすく、より具体的な話ができるでしょう。
STEP 3
特性や園での支援については通訳も交えて面談で話す
保護者に、発達障害の特性や支援について話すときは必ず面談で。立ち話だと周囲を気にして、本音で話せないこともあります。両親のどちらかが日本語がわかる場合は、できるだけ両親で来てもらいましょう。両親ともに日本語が話せないときは、役所などに通訳の依頼を。デリケートな話なので、保護者の親せきや子ども本人のきょうだい、知り合いなどに通訳は頼まないのが原則です。
面談では、乳幼児健診の受診の確認、園での子どものよいところと心配なところ、支援の必要性と専門機関の説明などを「やさしい日本語」で伝えます。下記の「発達障害に関する外国人保護者向けパンフレット」を見せながら説明してもよいでしょう。
STEP 4
専門機関につなげるときは、保育者が間に入る
保護者は支援の必要性を理解しても「どこに行ったらいいの?」「お金はかかるの?」など、システムがわからず不安になることも。そうした疑問に答えつつ、保護者から了解が得られたら、慣れるまでは保育者が予約をとるなどサポートをしましょう。
保護者には「やさしい日本語」で『〇がつ×にち 13:00~ 〇〇センター1かい やまださん』などのメモと、訪問先の地図を渡して説明を。視覚的なわかりやすさを心がけてください。
教えてくれた人/
児童精神科医 豊田市福祉事業団理事長 髙橋 脩
イラスト/ひしだようこ
取材・文/麻生珠恵
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掲載されているのは

PriPriパレット 2024年10・11月号

PriPriパレット 2024年10・11月号

51,56,57ページに掲載

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