聞こえづらさに気づくには?①
聞こえづらさを子ども自身が自覚しづらい「聴力」。周りの大人はどんな様子から子どもの聞こえづらさに気づけるのでしょうか。 | |
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子どもは聞こえづらさを自覚することが難しい ことばの発達を支える「聴力」。程度に関わらず聞こえづらい状態を「難聴」といいます。先天性の要因は、サイトメガロウイルスの母子感染など、後天的な場合は外耳炎、中耳炎などが難聴のきっかけに。聴力はことばの発達の土台になりますが、子どもには聞こえづらさの自覚はほぼなく、自分から症状を訴えることは容易ではありません。このことからも大人が早い段階で気づくことが大事。難聴を見逃してしまうと、話しことばの獲得に支障が出てしまうかもしれないからです。難聴の可能性を感じたら、保護者に相談し、乳幼児の聴力検査ができる耳鼻咽喉科の受診をすすめましょう。補聴器など、聞こえ方に合わせた早期のサポートが必要です。 また、大切なのは聞こえづらさのある子ども自身への対応です。本人の意思を確認し、支援すること。子どもが安心感を持って過ごせる配慮を心がけます。 |
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ことばの発達は聴力が土台になる 音の聞こえがコミュニケーションの入り口に 聴覚は出生前から発達し始めるといわれています。子どもは身近な大人の声を聞いて、聞き慣れた音を識別し、声と顔を関連づけ、やがて表情や身振りで非言語的コミュニケーションをとっていきます。そのなかでことば(単語や発音)を聞き取り、模倣することで言語でのコミュニケーションが少しずつ始まります。この過程をたどってコミュニケーションに至るため、スタート地点でもある「身近な大人の声を聞く」聴力に課題があると話しことばの土台が十分に育まれません。聴力がことばの発達へどう影響するのか、さらに詳しくまとめました。 |
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ことばの発達と聞こえの関わり | |
言語理解 乳児は動物の鳴き声より人の声を好んだり、母国語の音を聞き分けたりしながら、やがてことばかけの中から意味のある単語を切り取り理解していきます。 |
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音韻意識 単語を構成する音に気づき、操作する能力を音韻意識といいます。聞こえづらいと音に気づけないので、音韻意識が育ちにくくなり発音に影響することもあります。 |
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言語表出 聞き慣れた声と顔を関連づけ、親しい人の発声を摸倣しながら語彙を増やしていきます。聞こえづらいと模倣が難しく、ことばを増やしづらくなります。 |
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応答的なコミュニケーション 人の発声や周囲の環境音に自身が反応することにより、さらに次の反応が返ってくることで、やりとりの楽しさを経験します。聞こえづらいとその経験が減ってしまいます。 |
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教えてくれた人/言語聴覚士 田中春野 イラスト/妹尾香里 取材・文/オフィス朔 |