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ルール・約束がわかる、守れる伝え方①

子どもたちが新しい環境に入る新年度。ルール・約束を自然に守ることで、みんなが安心して楽しく園生活を送れるようになるといいですね。大人の押しつけにならず、子ども自身が無理なくルール・約束を守れるようになるにはどうすればよいでしょうか。その伝え方とツールを紹介します。

ルール・約束は「押しつける」ではなく「くり返し」で身についていく

子どもがルール・約束を守れないのには、理由があります。無理に押しつけず、子どもの特性に合わせた伝え方を工夫し、子どもが楽しく園生活を送れるようにしましょう。

ルール・約束を守るのが苦手な理由がある

ルールを破ったり、なかなか約束が守れなかったりする子どもがいます。どう対応すべきか困る保育者もいると思いますが、困っているのは保育者ではなく子どもです。発達に課題のある子どもには、その特性に、ルール・約束を守るのが苦手な理由があるのです。たとえば、集中力が続かず、「静かに座る」約束を守れない。ことばの理解が難しいために、「順番」の意味がわからず割り込んでしまう。衝動性が強く、「走ってはいけない」とわかっていても走り出してしまう、といったケースです。
保育者はこのような特性が背景にあることを理解して、ルール・約束を子どもに「守らせる」ものではなく、「くり返しながら少しずつ身につけていく」ものとして捉え直しましょう。

ルール・約束を守れないのはなぜ?


集中力が続かない・注意力がない

落ち着きがない、注意が続かないなどの特性がある子どもの場合、ルール・約束を聞いてもすぐに忘れてしまったり、目の前のことに気を取られて行動をコントロールできなかったりします。本人は守っているつもりでも、行動が伴わないケースもあります。


衝動性がある・感情コントロールが苦手

自分の行動や感情を抑えることが苦手な衝動性の強い子どもは、ルール・約束を知っていても、無意識だったり、耐えきれずに、それに反した行動をとってしまうことがあります。友だちとけんかになったとき、条件反射のようにパッと手が出て友だちを叩いてしまったり、怒りを抑えられなかったりします。


「守ってよかった」をくり返していく

大切なのは、子どもが「守ってよかった」と実感できることです。ルール・約束の必要性は、子どもにとってすぐに理解できるものばかりではありません。守ったら、「園で友だちと楽しく過ごせた」「安心して活動に参加できた」という経験を積み重ねていき、くり返しのなかで身についていくものなのです。
教えてくれた人/
岡山大学学術研究院 教育学域教授 佐藤 曉
イラスト/まつむらあきひろ 支援ツール制作/みさき ゆい
撮影/中島里小梨(世界文化ホールディングス)
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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掲載されているのは

PriPriパレット 2025年4・5月号

PriPriパレット 2025年4・5月号

4,6ページに掲載

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