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支援のアイデア

“はまる支援”が見えてくるアセスメント力を高めよう②

保育の分野でも聞かれるようになり、注目度が増してきた「アセスメント」。その目的やメリット、支援につながる活用法などについて解説します。アセスメントの力を高めて、子どもの支援に生かしましょう。

\保育に生かせる/

アセスメントを行うためのキーポイント
POINT 1
2つの視点から子どもを見る
子どもを「特性」と「発達」の2方向から捉えます。
発達支援を行う上で最も大切なのは、子どもの状態像をいかに正しく捉えるか、という点です。子どもの見取りがずれていては、どんな支援をしても成果は表れません。そこで重要になるのが、子どもをアセスメントする際の視点です。ただぼんやりと子どもを見ているだけでは、アセスメントになりません。では、どこに視点を置いて見ればよいのでしょう? その視点となるのが「子どもの特性」と「子どもの発達」です。「この子の今の発達段階は?」「この子の特性は?」という2つの視点から子どもを観察することがアセスメントのひとつめのキーポイントです。
子どもの特性
子どもの個性や発達特性を見極める。苦手なこと、できないことだけでなく、その子の得意なこと、好きなことの把握も必要。
子どもの発達
実年齢にとらわれず、目の前の子どもが今、発達のどの段階にいるのかを正しく把握する。発達段階によって、支援の内容や関わり方も変わってくる。
POINT 2
3つの秘訣で効果的な支援につなげる
ただ子どもを観察するだけでは、子どもの支援につながりません。
子どもを「よく見る」ことだけが、保育におけるアセスメントの意味するところではありません。よく見ることで、子どもの状態像をくっきりと捉え、よりよい支援に結びつける、その一連のプロセスだと理解しましょう。その上で「SEE(子どもを観察する)」→「PLAN(そこから得た情報を基に指導計画をつくる)」→「DO(計画に即して保育を行う)」といったサイクルを日々の保育に定着させることが大切です。
子どもは日々成長し、変化するもの。常に子どもの今の発達を把握できるように、アセスメントは3~6か月おきに行いましょう。定期的なアセスメントによって、「今回は○○ができるようになった」という子どもの成長を具体的に捉えることもできます。そのような成長の様子も保護者と共有しながら、園と家庭で連携して支援を進めていきましょう。
すぐに始められる 簡単にできる
アセスメントシート

どんな関わりが、その子にとって安心できるのでしょうか? 具体的な事例で見ていきましょう。
※2つのアセスメントシートは、保育現場におけるよりよい支援を実現するために活用するものです。就学相談や医学的な診断などで公式な検査が必要な際は、専門機関で検査を受けてください。
アセスメントシート 1

困っていること 確認シート


子どもの視点に立ってその困りごとを探る
「困っていること確認シート」は、子どもが困っていること、苦手なことを把握するためのシートです。子どもが日常生活のどんな場面で、どんな困りごとを感じているかを把握することで、その子の発達の特性が明確になります。集団生活が苦手な子や手のかかる子を「困った子だ」と大人の視点で見ている限り、子どもが困っている理由は理解できません。困っているのは大人ではなく、子ども自身。保育者は「この子は何に困っているんだろう?」という視点に立って、子どもの困りごとが何かを把握することが必要です。

アセスメントシート 2

発達段階 アセスメントシート


発達の段階や偏りを把握し、支援につなぐ
2つのアセスメントシートのもうひとつは、子どもが今、どの発達段階にあるかを把握するための「発達段階アセスメントシート」です。子どもの日常の行動を観察し、「今できること」をカラーペンなどで塗りつぶしていくと、「運動」「日常生活」「社会性」「ことば」の分野における、それぞれのおよその発達段階を把握することができます。実年齢とほぼ同じ発達段階なのか、それよりも上、あるいは下の年齢の発達段階にあるのかを分野ごとに捉えることで、子どもの発達や偏りを確認します。
1枚のシートで数回のアセスメントを行うことができます。毎回、カラーペンの色を変えて塗りつぶすと、どの分野でどのくらい成長したかを視覚的に捉えられます。

教えてくれた人/安部 博志
イラスト/Aikoberry
取材・文/森 麻子
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PriPriパレット 2025年4・5月号

PriPriパレット 2025年4・5月号

51,54,55,56ページに掲載

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