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支援のアイデア

「危険な行為をしてしまう子への対応」②

高いところから飛び降りる、急に飛び出すなど、危険な行為をしてしまう子どもがいます。その度に、保育者が対応に追われるケースもあるでしょう。どうしたら落ち着いて安全に行動できるのか、園での事例をもとに支援の方法を考えます。

衝動的で落ち着きがなく、走り回るAさん

やりたいことや気になるものを見つけると、パッと動き出す4歳のAさん。廊下でいきなり走り出したり、高いところによじ登ったりして、目が離せません。
欲求を安全に満たすための過ごし方を提案
突発的な行動をする子どもには、本人のやりたい気持ちを満たす代替案を提案し、安全なあそびに誘導できるとよいでしょう。
体を目一杯使う時間を確保してから座って行う活動をするなど、動と静のメリハリをつけられると、過ごしやすくなることも。集団活動では先の見通しを伝える、役割をもたせて待ち時間を減らすなどして参加したい気持ちを高めてから、ルールや約束を伝えます。そして、短時間でもできていることをしっかりほめて、安全な行動を強化していくとよいでしょう。
園での支援実例

待ち時間を少なくする
Aさんは何もしないで待つことが苦手なため、ゲームの待ち時間に部屋の外に飛び出そうとする姿がよく見られました。そこで、友だちを応援する役割を提案。ポンポンなどの応援グッズを用意して、ほかの子どもたちと一緒に応援するようにしたところ、クラスのなかで活動できることが増えました。

興味のあるものに強くひかれ、突進してしまうBさん

気になるものを見つけると、それ以外のものが目に入らない4歳のBさん。散歩の途中で道路に飛び出し、自転車にぶつかりそうになったこともあります。
活動の流れを視覚的に示し、刺激を整理
今やることがわからないと、目に入ったものに強くひかれ、それ以外が目に入らなくなる子がいます。そのような子には、気になるものには、カバーをかけたり片づけたりして、目に入らないようにします。また、今から何をしていつ終わるのか、やりたいあそびはいつできるのかを視覚的に示し、見通しを伝えましょう。
気持ちが落ち着かないときは、クールダウンができるスペースで過ごす、感覚グッズを活用するなども有効です。
園での支援実例
不要な刺激はシャットアウト
気になるものが目に入ると触らずにはいられないBさん。好きなおもちゃや目新しいものは、棚にしまったり布をかけたりして、視界に入らないようにしています。キラキラしたものや光るものも好きで、保育者が目を離した間にハサミを触ってしまうことがあったため、製作の時間以外は引き出しにしまって触れないようにしました。
感覚グッズを活用する
見る、触る、聞くなどの感覚刺激があると、子どもは安心し、落ち着いて過ごしやすくなります。そこで、Bさんが活動の待ち時間などにも触れるように、感覚グッズを取りやすい場所に用意。また、足裏への刺激も好むため、席の足元にザラザラした感触のクッションを置くようにしたところ、集団の場面でみんなと一緒に過ごせる時間が増えました。
公認心理師、臨床発達心理士 白馬智美
イラスト/ナカムラチヒロ
取材・文/こんぺいとぷらねっと
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PriPriパレット 2025年8・9月号

PriPriパレット 2025年8・9月号

36,38,40ページに掲載

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