My Wonder あなたの保育をサポートする

支援のアイデア

友だちとうまくかかわるための絵カード

コミュニケーションに困難さがあり、友だちとうまく関われず、トラブルに発展するケースが多い子がいます。その背景にある発達の特性を知り、友だちと楽しく過ごす豊かな時間を増やすために効果的な支援の方法を紹介します。

勝ち負け
ポーズカード
ゲームなどで負けると不機嫌になったり、かんしゃくを起こしたりする場合は、あそぶ前に「負けたときにどう振る舞うか」を子どもと一緒に話し合っておくことが大切。その際は、上のような「勝ったとき、負けたときの振る舞い方」を示した絵カードを用意しておくと便利です。前もって、勝ったり負けたりした際の振る舞い方を、絵カードのなかから子ども自身が選び、決めておくとよいでしょう。

どうして、負けると
激しく怒ったり、泣いたりするの?

物事に強くこだわる傾向のある子は、勝ちにこだわり、負けると怒ったり泣いたりする場合があります。一般的に、ゲームや競争をするときは、「勝つことも、負けることもある」と承知の上で勝負をするもの。心の準備があると、負けて悔しくても「次は勝てるかも」と気持ちを切り替えることができます。しかし、発達に特性のある子は、自分が勝つイメージしかないので、「負け」を受け入れ、うまく気持ちを切り替えることができないのです。
どっちがかっこいい?
カード

順番や物の貸し借りなどのルールを守れない子には、活動前の「ルール確認」が大切。その際は、「ブランコは順番に」といったよい振る舞いだけを伝えるより、「順番にあそぶ(よい振る舞い)」と「順番にあそばず、独り占めする(よくない振る舞い)」の2枚の絵カードを提示し、子どもにどちらがよい振る舞いか選ぶように促します。自分で選ぶことで、ルールに対する意識が高まり、忘れずに守れるようになります。


<佐藤先生から>

「負けたときの振る舞い方(P.25参照)」や「順番・貸し借り」などの約束は、みんなが楽しく活動するために、全員が守らないといけないルールです。「楽しくあそぶためのルール確認」として、活動の前にクラス全体で話し合うとよいでしょう。ルールをクラスの共通認識として定着させることで、子どもたちに「みんなで守ろう」という気持ちが芽生えます。
友だちにしつこくして嫌がられてしまう子にはどう対応すればいい?
人との適切な関わり方を丁寧に伝える
人には、それ以上他人に近寄られると不快に感じる“パーソナルスペース”があります。発達に特性のある子は、相手の持つパーソナルスペースへの感受性が弱いため、急に抱きつく、体に触るなど、過剰なボディタッチで相手に嫌がられてしまう場合も。また、表情から相手の気持ちを察することも苦手なので、嫌がられても気づかずにしつこく接してしまいがちです。
人との適切な距離感は、状況によって異なるので、一概に「このくらい」とは示しにくいもの。様々な経験のなかで学んでいくことが必要ですが、保育の支援としては、左のようなルールを決めて、子どもに伝えておく対応が大切です。
①近づく前に声をかける
急に近づいたり、抱きついたりするのは、その子とあそびたい気持ちの表れ。行動する前に、その気持ちをことばで伝える約束をしましょう。
②腕を伸ばして触れない距離で
「話をするときは、腕を伸ばして手が当たらない距離で」など、相手を驚かせない距離感を具体的に伝えて、ルール化しましょう。
③友だちに触れたいときは、
相手がびっくりしない方法で

抱きつく、髪の毛を触るなどする場合は、「肩を軽くとんとんする」「握手をしていいか聞く」など、子どもと一緒に相手が驚かない方法を考えましょう。
教えてくれた人/
岡山大学学術研究院 教育学域教授 佐藤 曉
イラスト/seesaw. 
絵カードイラスト/鹿渡いづみ 
支援ツール作成/みさきゆい
取材・文/森 麻子
お知らせカテゴリー