ネガティブことばと向き合おう
ネガティブことば4種の対応(前編)
ネガティブことばは、ことばそのものよりも、なぜ出てきたかを考えると解決に近づきます。そうしたことばが出てくる背景を4つに分け、対応策を紹介します。
なんで出ちゃうの!?
パターンA 口にすることで楽しい気持ちになるため
子どもたちが大好きな「うんこ」「おっぱい」などのことばが出てくるのは、自分の体や性差に興味を持ち始めた証拠です。これらのことばは親しみを感じているからこそ、言っていて楽しくなってしまうのです。園内や家庭内だけで言う場合は、厳しく注意する必要はありません。
解決 だれかが傷ついているならことばの意味を伝えて
言っているほうは楽しんでいるだけでも、だれかが傷ついている場合は注意が必要です。3歳ごろの子は人を傷つけてしまうことばとわからずに、ネガティブことばを使っていることもあります。「うんこ野郎」など楽しく言っているつもりが、過激になっていくことも。「そのことばはよくないことばだから、使ってはいけないよ」と保育者が伝えるようにしましょう。
なんで出ちゃうの!?
パターンB 相手を自分の思いどおりに動かしたいため
ものの取り合いなどちょっとしたトラブルがきっかけで、ネガティブことばが出てしまうパターンです。自分の思いどおりにならないことで癇癪(かんしゃく)を起こしてネガティブことばが出てしまいます。放置してしまうとことばがどんどん過激になっていくこともあります。
解決 ものの取り合いなどのトラブルは早めに介入を
トラブルが起きているのを見つけたら、保育者が早めに介入することが大切です。「どうしたの?」と声をかけるだけでも、子どもたちは冷静になることができます。どちらかがルールを守らないなどのトラブルは、「順番を守ろうね」「友だちのものは『貸して』ってちゃんと言ってから使おう」など、説明を。「そんなことしちゃダメでしょ!」という曖昧な叱咤では理解しにくいものです。
年齢ごとの対応
2歳 2歳ではまだ自分のものと他人のものという区別がありません。「順番に使おうね」と言ってもなかなか難しいものです。取り合いを防ぐために、ひとつしかないおもちゃなどを部屋には置かないようにしましょう。
3歳 3歳ごろになると、ルールやものの道理がなんとなくわかるようになります。しっかりとことばで説明するなかで「癇癪を起こしても思いどおりになるわけではない」と理解できるように促していきましょう。
監修/植松紀子先生
臨床心理士。日本大学講師。神奈川県内の児童相談所や「こどもの城」小児保健部での勤務を経て、現在はアドバイザーとしてさまざまな保育園や幼稚園を回り指導を行っている。
取材・文/香山倫子(KWC) イラスト/山口まく