わが子が発達障害と言われて
保護者の障害受容を支える保育者サポート【2】
保護者が障害を受容するまでの道のりは、決して平坦なものではありません。信頼関係を築きながら、保護者を支えるポイントを紹介します。
保護者と一緒に“作戦”を立てる。それが、やがて子どもの自立につながる
子どもにとって困ったことが起きたら、保育者と保護者は一緒にその子に適した解決策(作戦)を考えましょう。苦手なことはスモールステップで慣らしていくなど、いろいろな作戦を園と家庭で試してみます。作戦をたてる際は徐々に子どもも巻き込み、成長するにつれて困ったときに子ども自身が「どうしたらいいかな?」と考えて行動できるようにすることが大切。それが自立へとつながります。
保護者のタイプに合わせた対応を。ときには「待つ、引く、スルー」も必要
保護者は障害受容までの過程では、葛藤や混乱のなかにいます。だからこそ保育者は、保護者の表情やそぶりから心の状態を見ることが大切。例えば「敵意と恨み」の段階にいる保護者は攻撃的になりがちですが、それは不安を抑えきれないがゆえの行動。保育者は「私の対応に問題があった」と気にする必要はありません。少し時間をおいて保護者から声をかけてくるのを待ったり、一方的に怒りをぶつけてくるときは、じょうずに受け流したりすることも必要です。また夫婦間で認識がずれるケースも少なくありません。
一般的に障害受容までに母親は3年、父親は7年かかるといわれています。このギャップの4年間にお母さんは孤独を感じるので、保育者が味方になって支えましょう。もし保護者自身に発達障害の傾向が見られる場合は、やんわり伝えず、短いことばで的確に伝えます。
監修/徳田克己(筑波大学医学医療系教授)
子ども支援研究所所長。教育学博士、臨床心理士。専門は子ども支援。全国の幼稚園、保育園などを巡回し、発達障害のある子どもの保護者や保育者の悩みに答える。『こうすればうまくいく! 自閉症スペクトラムの子どもの保育』(監修/中央法規出版)など著書多数。
イラスト/妹尾香里 取材・文/麻生珠恵