園の現場から実例
絵本に親しむための環境づくり~自分の場所を 見つけられる絵本室
子どもが自分から絵本のすばらしさに気づけるように、保育者はどのようにかかわればいいのでしょうか。3つの園での環境づくりの取り組みと、読み聞かせのコツについてご紹介します。
子どもにとってなぜ絵本が大切なのか
絵本が子どもに与える影響について、千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生は、次のように言います。
「子どもは登場人物に同化し、同時に物語全体を客観的に観察します。そうした疑似体験を通して、豊かな感情表現ができるようになり、先を見通す想像力が育まれるのです。日常では味わえない心の動きが体験できますね」。
平塚学園松風幼稚園(神奈川県平塚市)の例
構想から完成まで約10年かかったという「あすなろ絵本館」は、やわらかなじゅうたん、適度に低い仕切り、そして部屋を見渡せる回遊式の2階の廊下が魅力。子どもたちはリラックスして、うたた寝をしてしまうこともあるそうです。「絵本は決められた場所に座って読む」という概念に縛られることなく、子どもたちがのびのびと絵本の世界に入り込めます。
低い仕切りに囲まれた小部屋のような空間があることで、少人数で絵本を読みたい子どもが、落ち着いて過ごせます。座布団を取って来て、好きな場所に置いて座れば、自分だけのお気に入り空間に。
監修/横山洋子先生(千葉経済大学短期大学部こども学科教授)