心と脳を育む運動発達
運動と心・脳の関係とは
あかちゃんは、あそびや日々の生活経験を通して、複雑で多様な体の動きを獲得していきます。首がすわり視野が広がると、脳への情報量が格段に増加。脳は、視覚をはじめとする五感から情報を得て発達しています。おすわりができるようになると、手指の操作性が高まって好きなあそびも増え、楽しいという喜びの気持ちが芽生えます。
はいはいで好奇心が高まると、興味のあるものへ近づこうとする意欲も活発に。そして歩けるようになれば、自由に行動できる喜びとともに探究心や自立心が芽生えます。このように心と脳は、運動と深く関わりながら発達しているのです。
体の動きを目的別にとらえる
あかちゃんの運動発達は、はいはいや歩くなど体全体の動きである粗大運動と、つまむなど手指の細かな動きである微細運動にわけて考えられることが多いものです。けれども、乳幼児の運動発達の支援をする際は、体の動きを粗大運動と微細運動の2つではなく、下記の4つの動きにわけて考えると、支援もしやすくなります。
●体を動かす動き
腕を曲げる、首を曲げる、足を伸ばす、背中を丸めるといった、体のいろいろな部位を動かす動き。
●移動するための動き
歩く、走る、はねる、とぶ、登る、下りる、はう、よける、すべるなど体を移動するための動き。
●体のバランスをとる動き
立つ、座る、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がるなど体のバランスをとる動き。
●用具を操作するための動き
持つ、運ぶ、投げる、捕る、 蹴る、押す、引くなどの用具を操作する動き。
お話・監修/今井和子先生
二十数年間、世田谷と川崎の公立保育園で保育士として勤務。その後、お茶の水女子大学などの非常勤講師を経て東京成徳大学、立教女学院短期大学教授を務める。現在「子どもとことば研究会」代表。全国の保育者研修会で、講演などを行っている。
撮影協力/クレアナーサリー市ヶ谷(東京都)